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成功本と健康本にハマる人ほど、実は変われない

◆成功法則本を読みまくって一日一食…成功マニアと健康マニアの共通点

水野俊哉氏

水野俊哉氏

 厳しい出版業界のなかで、元気なジャンルがある。成功哲学本と健康本だ。最近の健康本のブームといえば某医師の提唱する「一日一食」だが、そういったハヤりの健康法にハマる人種には、ある共通点が見られる。“自己啓発や成功哲学にものめり込む”ということ。お腹をぐうぐう鳴らしながら、脳内は成功イメージでワクワク。「空腹で人生に奇跡が起きる」などと大特集する雑誌もあり、なにやら奇妙さを感じるのは気のせい!?

 健康本と成功本の読者――その両者が結びつく構造について、ビジネス本作家の水野俊哉氏に聞いてみた。

「まず、彼らの多くは新しいテーマやブームが大好物です。そして、本気度、切実度が圧倒的に低いのが特徴。本気で健康になりたい、成功したいと考える人たちは、とっくに“実践”していますよ。食事制限や筋トレをしたり、高額なビジネスセミナーに通い、自分で事業を起こしたりして結果を出しています。本を読んでいるヒマなどないのです。私もかつて3億円の負債を抱えたときは、一時期こそ集中して成功本を読みまくったが、その後、必死でビジネスに取り組みました。でも、成功本と健康本にハマる人たちは、実際には、読後も変わらない生活を送っている人がほとんどなのです」

 彼らは本を読むことで、「エア健康」「エア成功」を楽しんでいるといえるのかもしれない、と水野氏。

「彼らは本気で変わる気はないし、そもそも変わる必要がないのだから、それはそれで幸せな人生なのでしょう。ブームとなっている健康本や成功本は、ひとつのエンターテインメントと捉えればいいのではないでしょうか。『ストイックに筋トレしてマッチョな体になろう』と言うと敷居が高いが、一日一食なら、誰にでもできそうですし(実際にはできないのだが)。だから、マニアたちの心をつかむのは当然なのです」

 しかし、そのメソッドが果たして本当に検証されているのかは書かれていない。医者、成功者という著者のスペックがいいだけだったり、たまたま著者が成功した方法を普遍化して、ドヤ顔で語っている例も多いのでは?

「業界ではキワモノ扱いされている著者も少なくないかもしれません。とはいえ、出たがりの著者も売りたい出版社も、エア健康やエア成功を楽しみたい読者も、全員幸せというサイクルは完結している。みんな喜んでいるのだからいいのかも(笑)」

【水野俊哉氏】
’73年生まれ。数千冊のビジネス書を読破し、会社経営を経て作家活動へ。『成功本50冊「勝ち抜け」案内』(光文社)、『ビジネス本作家の値打ち』(小社刊)など、話題作を続々と発表。全国で出版セミナーを開催。現在まで500人以上が受講

取材・文/田山奈津子 あべけいこ 江藤ちふみ 奈良岡崇子(本誌)
― 本当に効く[成功法則]はコレだ!【7】 ―

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