ぽい捨てしただけで、広報誌に名前が載る! 柏市の条例はやり過ぎか!?
―[おかしなルール報告書2]―
「400平方メートル以上の一軒家しか建てるな!」「犬、猫を10匹以上飼ったら罰金or懲役!」などなど、この世の中には思わず首を傾げたくなるような決まりごとが非常に多い。そこで今回は、前回同様の”気になる条例、法律”をはじめ、読者から寄せられたネタにも取材を敢行。これらのルールは果たして”悪法”か?
ぽい捨てしただけで、広報誌に名前が載る!?
「ゴミを捨てただけで”さらし者”になるなんて……。まるで江戸時代のような条例です」
なかむら氏がそう語るのは『柏市ぽい捨て等防止条例』。’97年に施行され、’04年に一部改正が行われたこの条例は、つまり「公共の場所でのゴミのぽい捨て、路上喫煙などを行ってはいけない」というもの。が、問題なのは違反した際のペナルティ。なんと、柏市の広報誌に違反者の氏名と住所が掲載されてしまうというのだ!
「もともとこの条例は環境条例だったんですが、効果がほとんど見られなかったため、徐々に制裁のある現在の形に変化していったようなんです。その 抑制の効果は絶大で、施行後ぽい捨ての数が3分の1まで激減したのだとか。まだ掲載の事例は出てきていないようなんですが、逆にいえば『さらし者』の恐怖はそれほどインパクトがあったのでしょう」(なかむら氏)
とはいえ、個人情報が公表されるとは、人権侵害もいいところ。条例自体に問題はないのだろうか。
「刑罰に匹敵する制裁効果があるわけですから、本来なら刑罰を科すために必要な手続き保障がなされるべきです。この条例の場合、意見陳述の機会が与えられていますが、それが手続きに準じた保障であるかは疑問。“悪法”といわざるを得ない条例ですね」(角田氏)
仮に、個人情報がネット上に流出し”祭り化”してしまったら、社会復帰できなくなる可能性も。条例は人生を台無しにする危険性も十分に秘めているのだ。
【なかむら いちろう氏】
ウェブサイト『変な法律』管理人
’69年生まれ。立命館大学法学部卒。’00年にウェブサイト『変な法律』を開始。著書に『大爆笑「変な法律」集「俺の酒が飲めねーか」は犯罪です』(講談社)
【角田龍平氏】
元芸人弁護士
コンビ解散後弁護士に。現在『サンデージャポン』(TBS系)出演。『角田龍平のオールナイトニッポンポッドキャスト』(ニッポン放送)も好評配信中
イラスト/テラムラリョウ
― おかしなルール報告書 Vol.2【3】 ―
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