キングジョーが焦げた!? 伝説の番組『ウルトラゾーン』撮影秘話
日本中がサライを聞いていた8月26日夜、お台場ではいい年をした大人たちがゼットンくんを囲んでキャッキャ喜んでいた……。
これは、伝説の怪獣バラエティ番組『ウルトラゾーン』のトークイベントのひとコマ。
『ウルトラゾーン』は、「大人向けのウルトラ」として円谷プロダクションが製作した、怪獣のコントあり、ドラマあり、特撮ありの知る人ぞ知る地方局限定放映の人気番組である。26日に行われた『ウルトラゾーン』の書籍発売記念トークイベントの模様を紹介したい。
トークショーの出演者は、番組でドラマパートを担当した映画監督の井口昇氏、田口清隆氏と、監修の円谷プロダクション・渋谷浩康氏。会場はお台場のイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」で、開場前からずらりと行列ができる熱気ぶりだ。
出演者の登壇に続き、特別ゲストとしてゼットンが紹介されると「ゼットンく~ん!!」と声援が飛び、会場のテンションが一気に盛り上がる。ゼットン大人気! フラッシュの嵐が収まると、ゼットンは第2部の撮影会にそなえて一度退席し、トークショーがいよいよスタートだ。
井口監督は、M1号、ラゴン、ケムール人の新造形怪獣を使った「ウルトラゾーンチャンネル」を担当。田口監督は特撮を駆使した特撮ドラマパートを担当した。「8月に話が来てオンエアは10月。2カ月で怪獣を3匹新造形して、二十何話撮るの!?」と井口監督が驚いた番組参加のいきさつから話は始まり、自分の担当以外で好きなコーナー、天候や時間に左右されてロケで苦労した話、特撮秘話などで大爆笑がわきあがった。その一部を抜粋しよう。
井口監督:「ゾーンチャンネル」は後半は監督が5人になったんですが、とにかく時間が厳しくて、1日で4本とか撮らなきゃいけないんですよ。だいたい3時間で1本位?そうすると別の監督と怪獣がバッティングするんですよね。お互い「押すなよ」って威圧感をかけあって(笑)
渋谷氏:けっこう天候でも苦労されていて。
井口監督:「ラゴン一家」のときは大雨でしたね。アイスキャンディーを食べるシーンでは豪雨。しかも夕方4時頃に日が暮れちゃうんです。ラゴンちゃんもずぶ濡れで、アイスなんて食べてる場合じゃないだろ!みたいな。
渋谷氏:仕上げのときに、まず仮編集の映像をいただくんですが、監督が自分で仮ナレーションをされていて、かなり感情がこもっていましたね。「泣くな、M1号!」とか。
井口監督:M1号はね、不憫で親近感がわくんです。普通に視聴者の気持ちになって「がんばれよ!」って言いたくなっちゃう。M1号とはいい友達になれると思いますね。
渋谷氏:「最後の攻撃命令」では、久しぶりにあんなに火薬を使う撮影を見ました。ポンポン砲、120発でしたか。
井口監督:あれはどこで撮ったんですか?
田口監督:千葉です。都内は火薬を使う撮影はなかなか許可がおりないので。行きつけの海の家がありまして、そこの庭だとわりと好きなようにやらせてもらえるんで、1泊2日で7話8話の特撮は全部撮りました。
井口監督:僕、そのあとに別の企画でキングジョーを撮影したんですけど、ちょっと焦げてましたよ。「どうしたんだろう? キングジョーが焦げてる!」って思った(笑
田口監督:ご迷惑おかけしてスミマセン(笑
渋谷氏:あのキングジョーが防衛軍の攻撃を受け続けるシーンは必見ですよね。
田口監督:あれはずっと攻撃を受けているように見えますが、攻撃されながら歩いてくるのを5キャメで撮ってつないでるんです。
渋谷氏:演出の妙ですよね。音楽も盛り上がる。あのシーンのための新曲ですよね。
田口監督:ええ、本当は反則だったんだろうと思います(笑
そのほか、「怪獣マッサージ」のデスレムの回で、奥のベッドに寝ているのは徹夜撮影明けの田口監督だったとか、「ケムールに学ランを着せるときは、怪獣にそんなことしていいのか!?と緊張したけど、意外としっくりきていた」という井口監督のエピソードなど、盛りだくさんの話題で第一部のトークショーは終了。監督のサイン会を挟み、後半は来客との質疑応答となった。
【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/280597
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<文/日刊SPA!取材班>
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