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都条例改正に反対する漫画家の“はじめての陳情書”顛末記

 都の青少年健全育成条例が可決される以前、ツイッターなどで「陳情書を書こう」という流れを知り、「自分でできる範囲のことをやろう」と、生まれて初めて陳情書を書きました。それまでは、陳情というとオジサンたちが代議士のところに押しかけていくイメージしかなく、自分では思いつきもしなかったです。書き方は都のサイトや他の方に教えていただいた情報を参考にして、すべて手書きにしました。とにかくたくさんの陳情書が届くだろうから、要点を簡潔に記すことに重点を置いて。  郵送提出後、受理通知が送られてきて、条例可決後、数日してから結果通知が届きました。書類には、私の手書きの陳情書を職員の方が打ち直した文面と「不採択」のハンコ。不採択の理由はありませんでした。本会議中継で結果は知っていたので、そのとき感じたのは「やっぱり」というのと「何百通もの陳情書を打ち直すなんて、ご苦労なことだなあ」ということ、そんな手間暇をかけながら、不採択の理由は明らかにされず、ハンコひとつで戻ってきた空しさです。  結果は残念でしたけど、陳情書を送ったことはよかったと思っています。書くこと自体は難しくありませんでしたし、何もせずにいて、10年、20年経ったときに「あれが始まりだったんだ。あのとき何かしておけばよかった」と後悔したくないですから。それに、この問題はこれで終わりではなく、これからも続いていくもの。陳情書という方法で行政に意見を伝える方法を知り、勉強になりました。私は埼玉在住なのですが、都民じゃなくても陳情書を送っていいこともわかりましたしね(笑)。
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近藤氏のもとに送られてきた審査結果通知。 都の書式に打ち直した文書に「不採択」と朱で押印されている近藤ようこ氏
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’57年生まれ。漫画家。代表作『水鏡綺譚』『アカシアの道』『ルームメイツ』『逢魔が橋』ほか。 ’86年には『見晴らしガ丘にて』で日本漫画家協会賞優秀賞を受賞している イラスト/近藤ようこ(自画像) ― 「陳情したらこうなった!」(驚)報告【6】 ―
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