橋下徹大阪市長の“旧友”が橋下新党を痛烈批判
ハナから盛り上がりに欠けた民主党代表選と、争点がボヤけたままの自民党総裁選を尻目に、大手メディアの世論調査でも今や飛ぶ鳥を落とす勢いの橋下徹大阪市長率いる新党「東京維新の会」がいよいよ動き始めた。
『幕末歌集』(島政大著・アートデイズ刊)という本には、草木崛起を唱え維新への決起を促した吉田松陰をはじめ、坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作……などの志士が遺した短歌が60ほど収められていますが、彼らのほとんどは30歳前後で斬首されたり、命を落としている。これら、真の維新の志士たちの辞世の句からは、彼らの国と民を想う峻烈なまでの魂の叫びが聞こえてくる。幕末には、多くの若者が理想を達成するために命を捧げたが、“維新バブル”になびく現代の政治家にはその覚悟があるのか。本当の維新の志士たちの魂に触れて、自らを磨いてほしいものです」
「維新」という看板欲しさに奔走する現代の政治家の姿を見たら、明治維新を成し遂げた本家の志士たちも泣くゼヨ! <取材・文/日刊SPA!取材班>
橋下人気に乗じようと、メディア各社もこの異様とも思える“熱狂”を連日ひと際大きく報じているが、これをクールなまなざしで見つめる一人の政治家がいる。
先の首相問責決議で自民党のなかにあって唯一「自己矛盾の茶番劇だ!」と採決を“棄権”した丸山和也参院議員は、自身のブログで「現実にはその値打ちの100倍に期待値がついている」「今は維新バブルの状態」と、昨今の“維新ブーム”をバッサリ斬り捨てるコメントを掲載し話題になっているのだ。
敢えて批判するのは「維新の会の行く末を案じるから」でもあるそうだが、そもそも橋下市長と丸山氏は、日本テレビ系『行列のできる法律相談所』の「史上最強の弁護士軍団」の元メンバー。今でこそともに活躍の場を政治の世界に移しているが、当時同じ番組内で舌戦を交わしていた実に15年来の仲なのだ。
丸山氏の昨今のブログには、そんな“旧友”に対する痛烈な批判に加え、維新の会に擦り寄る政治家が後を絶たない政治の現状に対する嘆きで溢れている。
「なんらかの形で維新と表面的に連携しておこうとするただそれだけの浅はかな考えで行動する者」
「自分の選挙区に維新候補を立てられないように擦り寄っておこうとするあさましき根性の者」
「次どう見ても落選しそうだから維新に鞍替えしとこうとの魂胆の者」
「ブームの風に乗りさえすれば当選出来ると期待する馬鹿者新人」
「一応名のある議員や相当の年齢や人生経験のあるものにもかような動きをみせている者がいることは誠に嘆かわしい。政治家とはかくも卑しきものかと思わざるを得ない」
こう丸山氏が嘆くとおり、9月11日には松野頼久元官房副長官をはじめ、民主党、自民党、みんなの党の国会議員7人が離党届を提出し、維新の会に合流。松野氏ら7人は自らを「7人のサムライ」と称したが、丸山氏は「数だけは正解だが、黒澤作品の登場人物とはほど遠い。バブルにたかる者に信は置けない」と断じている。
そんな丸山氏を、今回日刊SPA!が直撃した。
――“維新バブル”はますます過熱しているようにも映るが。
「私は経験主義者の橋下クンがやっているのは、その手法から見ると政治タレントを集めた興行の一種に近いと見ている。いわば“橋下維新興行”。ある意味で政治的なエンターテイメントですよ。それにもかかわらず、ここまでバブルが膨らむのは、彼に託せば何か今の世の中一変するんじゃないか、と思う日本人特有の幼稚で生真面目な理想主義が背景にある。それに輪をかけているのが、選挙を考えて自らの利益のために擦り寄る政治家が数多くいること。哲学不在で、実に嘆かわしいことです」
――デフレは解消されず、「失われた20年」に苦しむなかで震災が起こり、危機にある日本を「幕末」になぞらえる声もあります。
「本当の幕末の意味を知らない政治家が多すぎるから、軽々しく『維新』を口にし、橋下新党に擦り寄る輩が絶えないわけです。彼ら“インチキ志士”と幕末の志士を一緒にしたら、明治維新を成し遂げた先人が泣きますよ。最近出た
『幕末歌集―志士たちの墓碑銘』 幕末を生きた人間の心情に触れる |
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