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【冤罪の魔の手】経営する旅館が放火されたのに自分が容疑者に

普通に日常生活を送っていたはずなのに、気がつけばいつの間にか「犯罪者」に!ごく身近なところで起きている、身に覚えのない「冤罪」の数々をリポート。

経営する旅館が放火されたのに自分が容疑者に

旅館放火事件
’08年5月21日午後9時半頃から約1時間の間に和歌山県串本町の旅館「御宿夏祭り」の離れ形式の客室2室が全焼し別棟2室の一部が燃えた放火事件。警察は火災保険を詐取する目的で放火したと経営者の三好なるみさん(当時43歳)を逮捕。三好さんは全面無罪を主張するが、一審は懲役6年の実刑判決。現在控訴審が争われている。また’10年9月、三好さんの父親(82歳)が「判決に不満」と検事の左腕を刺し逮捕された。

 ’08年7月に放火犯として逮捕された三好なるみさん。5月の放火事件までの3か月の間に、彼女の経営する旅館で6件の不審火を含め不可解な事件が起きていた。2月11日にスタッフ数人が退職することになると、2月11日に三好さんの経営する「ネピアル」という旅館の厨房とレストランが燃え、17日には「ネピアル」の宿泊棟が燃えた。さらに23日には「ネピアル」の管理棟、3月27日には旅館「御宿夏祭り」の裏の畑、4月1日には旅館「かぐや姫」、4月13日「リージェンシー」の寮と、火災が続いた。さらに「満室の時に水のタンクが壊され」「ネットに悪意の書き込みが続いた」なかで今回の逮捕容疑の5月21日の事件となった。

 この6件の不審火について、三好さんは事件の起きたときに東京や西宮にいたので「アリバイが成立している」という。そんな目に遭いながら、この2月から5月までの間、三好さんは何をしていたのか。「私はたいへん身に危険を感じ、何度も警察に相談に行きましたが、まったく相手にしてくれませんでした」と言う。

 彼女はこの当時、従業員からこんな話を聞いていたという。

「不審な事件にスタッフ全員が脅かされていて、そのために退職していくようです。宿全体の安全管理はしっかりとしてほしい」

 警察が「保険金目当て」とした動機について、弁護側は火災に遭った客室には「抵当権が設定されており、もし火災保険が支払われたとしても『夏カンパニー』(三好さんの経営する会社)に支払われることはない」から「被告人が火災保険金目当てで本件犯行を行うことなどはありえない」と主張する。抵当権が設定されている場合は抵当権者のもとに保険金が渡ることになるそうだ。

刑事が自白を強要それがトラウマに

 この事件で犯行と三好さんを直接結び付ける証拠はない。そのなかで特に重要視されたのが放火後に客室で発見された三好さんの指紋のついたポリ袋だ。しかし、三好さんはこう主張する。

「消火作業が終わった後、ボヤで済んだ客室に行きました。そのときバケツに躓き、手を突いてポリ袋に触れたのです。これ以外にこのポリ袋に触れる機会は実質的にありません」

 また弁護側は「現場にはゴム手袋が残っていて、犯人は当然このゴム手袋を使用して犯行を準備したはずなので、1か所だけ被告人の指紋が残っているのは不自然」と指摘する。事件から2か月後の7月11日に逮捕された三好さんの取り調べは過酷を極めたという。

「大きなクマみたいな刑事が机やイスを蹴飛ばし、大声で怒鳴り自白を強要されました。それがトラウマとなり、今も涙が止まらず息ができなくなり、机やイスが飛んでくるのが見えるのです」

 三好さんは切々と無罪を訴える。

「黒字経営で税金の滞納も一切なかった会社なのに、たかが4000万円の火災保険を目的に火をつけたなどと主張する検事を疑います。売り上げは年間3億円以上あったのです。父は冤罪を世間に訴えるために、検事の左腕を刺して10日間のけがをさせてしまいました。肺がんの治療中なのに家を守ってくれている母や、私を支え励ましてくれる家族のためにも無罪を勝ち取りたい。逮捕から今まで、奪われたものが多すぎる。特に一人息子との大切な時間は本当に取り返しがつかない。それでも私は一日でも早く家に帰りたい。家族のところに帰りたい」

 3月31日、この事件の控訴審は判決を迎える。

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本誌記者に届いた三好なるみさんからの手紙は現在までに9通。
拘置所から無実を訴えている


― 痴漢だけじゃない!冤罪の魔の手がオレたちを狙う【1】 ―

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