【エコカー】これ以上の燃費競争は無意味!?

燃費のエースと言えば、プリウスやアクアに代表されるハイブリッドカーですが、ケチケチのエースといえば今も昔も軽自動車。そんな軽自動車の代表格であるスズキのワゴンRがモデルチェンジ。ホンダのN-BOXやダイハツのミラから軽自動車王の座を奪還すべく、ケチに磨きをかけてきた。そんなワゴンRとアクアを比較。今回は燃費だけでなく、トータルコストで考えてみました MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 茂呂幸正=写真 Photographs by Moro Yukimasa ⇒【前編】はコチラ 「“ケチケチカー”の王座奪還を狙う新型ワゴンR」
ワゴンR,アクア

燃費ではハイブリッドカーの後塵を拝しましたが、トータルで見れば下駄車としては相変わらず軽自動車が最強。どれも燃費がいいってことは燃費対決自体がそもそも無意味!?

 実はスズキのワゴンRの「発電のケチケチ化」で節約できる燃費は、たったの2~3%なんだけど、ワゴンRはその他ボディを軽くしたり、アイドリングストップを進化させたり、そのアイドリングストップ中はエアコンが止まっちゃって車内が暑くなるから、エアコン内部に保冷剤を入れ込んだりという、「夏は行水!」みたいな原点回帰の節約術をフル活用し、旧型より燃費を2割向上。「燃費でハイブリッドカーの尻尾が見えました!」(スズキ開発陣)というところまで前進したわけです。と言っても、同じ軽のミライースには少し劣るんだけど、室内の広さは背の高いワゴンRの大勝利なので、それを思えばスゲエ! と言えますね。  自慢の燃費は、カタログ上リッター28.8km。これを、リッター35.4kmを誇るトヨタのハイブリッドカー・アクア(私の自家用車ボコちゃん)と激突させてみた。2台で浦安のディズニーランド周辺をエアコンONで走った燃費がこれだ! ワゴンR/リッター18.8km アクア/リッター23.0km  さすがにハイブリッドカーは強かったが、ワゴンRも健闘した。確かに尻尾は見えている。  私のアクアは、買ってからの平均燃費がリッター22.5kmなので、ワゴンRも平均してリッター19kmくらい走るだろう。この差が積み重なると、どれくらいの金額になるのか? ●アクアS(179万円) 購入時の諸経費 10万円 ガソリン代 65万円 税金・保険 45万円 整備・車検 44万円 合計 343万円 ●ワゴンR FXリミテッド(125万円) 購入時の諸経費 9万円 ガソリン代 79万円 税金・保険 18万円 整備・車検 41万円 合計 272万円 343万円-272万円=71万円  新車で買って10年10万km乗ると、ガソリン代の差は14万円。なるほど。しかし、税金と保険料は軽のほうが27万円安上がりだ。クルマの値段も50万円以上ワゴンRが安い。これらが積み重なると、合計して71万円、ワゴンRのほうがおトクという結論が出ました!  つまり、ケチに徹するなら、燃費よりクルマの値段や税金を重視したほうがいいってこと。みなさん、もう燃費のことは忘れましょう!  ちなみに新型ワゴンRの走りのフィーリングは、とにかく軽い。日常走行なら性能的には十分。飛ばすと少しかったるいのと、ボディが軽すぎて乗り心地がバタバタするけど。 【結論】 エコカーはどれも十分燃費が良くなっており、すでにガソリン代の比重は下がっている。これ以上燃費を良くしてもそんなに節約できません! メーカーのみなさん、無意味な燃費戦争はそろそろ終わりにしましょう! ― ワゴンRとアクア。どっちがおトクか検証してみた!【2】 ―
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
おすすめ記事
ハッシュタグ