用水路や砂防ダムなど、既存の施設を利用し”ついでに発電”
【小水力】
雨に恵まれ山地の多い日本は、水力発電に向いている。だが、巨大ダムは環境負荷が大きく、周辺の住民の同意を得るのが難しい。そこで最近注目を浴びているのが、中小水力発電だ。全国小水力利用推進協議会の中島大事務局長は「中小水力発電の定義はいろいろありますが、一般的には1万キロワット以下のものを小水力発電と言い、10万キロワットまでを中水力発電と言います」と解説する。
「環境省の調査では、3万キロワット以下、発電単価500円/キロワット時以下という条件をクリアする中小水力発電設備容量のポテンシャルは、約1811万キロワットあるとされます。中でも、1000キロワット以下の小水力は、最近の主流になってきています」
自治体では、山梨県が小水力発電の普及に熱心だという。
「環境省の調査によると、山梨県での小水力発電のポテンシャルは、同県の年間電力消費量のおよそ半分とされています。東北地方ではそれ以上のポテンシャルが期待できます」
小水力発電のメリットは、既存の設備を利用して”ついでに発電”できるところだ。
「もともとあった農業用水路や砂防ダムに、水車と発電機を取り付けた小水力発電所もあります。既存の設備を活用することで、環境負荷も小さく、周辺住民の合意が得られやすい。土木建設費などのコストを削減できるというメリットもあります。またメンテナンス面での雇用を生むという効果もあります」
中島氏は、「なるエネルギー源としてだけなく、小水力発電の地域性を評価すべき」とも言う。
「長野県大鹿村では、小水力発電所に加えて独自の変電所を持ち、災害時には地元で発電した電力を直接配電するという取り決めを電力会社としています。地域の危機管理の観点からも、小規模・分散型の発電所を増やしていくことが重要でしょう」
ドイツの小水力発電所。小水力利用の盛んなドイツでは、
国内の水力発電設備のうち、1000キロワット未満の数が9割以上
砂防ダムを流れる水を利用した小水力発電所。
土砂崩れを防ぐ”ついでに”発電している
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