ポジティブ“カツラー”の主張「無理に隠そうとする消極性がカツラを悪目立ちさせるんです」
【ポジティブ”カツラー”の主張】
何かとネガティブなイメージになりがちなカツラ。が、ちょっとした発想の転換で、明るいカツラライフを送っている人たちもいるのであった
無理に隠そうとする消極性がカツラを悪目立ちさせるんです
『カツラーの秘密』著者・小林信也さん
「カツラとの付き合いはかれこれ30年近い」という、作家でスポーツライターの小林信也さん(54)。自らのカツラ生活にまつわる悲喜こもごもを赤裸々に綴った『カツラーの秘密』をはじめ、カツラ関連の著作を数多く手がけている。
「(前出の)西山さんはあれだけ忙しい状況の中でたぶんカツラーを続けているのだから、髪に関してはいつも以上に苦労していると思います。だいたい、キッチリした七三分けみたいな髪形のほうが、カツラはよけいに目立つんですよ」
カツラに関する議論では「ハゲに対する世代間の温度差を見逃すわけにはいかない」と指摘。
「近年、ファッションとしての坊主頭やスキンヘッドが定着してきた。僕らが若い頃は、そんな髪形は僧侶か”その筋の人”にしかいませんでしたからね。会社でも受け入れてもらえない風潮があった」
髪がないだけで評価が下がり、自信を喪失してしまう──そんな強迫観念から、嫌々ながらカツラを選択するケースが多かった。
「私もかつてはそうでした。でも今は違う。『別に毛が薄くてもいいじゃない。嫌ならスキンヘッドにでもすればいい』といった多様な価値観が社会に根付いてきている。”ポロシャツにするか、スーツにするか”と同じような感覚で”ハゲでいくか、カツラでいくか”を選択できるようになったといっても過言ではないでしょう」
ハゲを隠すためでなく、髪形ののひとつとしてカツラを選択。それが健全なカツラー道なのだ。
カツラに関する話題をタブー視しないこと
「私は、好きな髪形ができるからカツラを使っているし、カツラが好きだから使用者であることを公言している。無理に隠そうとするから、その消極性が周囲にも伝わって、カツラが悪目立ちするんです。あと、違和感のあるカツラを我慢して使い続ける必要もない。安い買い物ではないし、あれこれ試すのは限界があるかもしれないが、可能な範囲で情報を集め、納得できるメーカーを探してみるべきです。ユーザーの隠したい心理につけ込んで、顧客を巧みに囲い込む業者も存在しますからね」
そして、何より大切なのは「カツラに関する話題をタブー視しないこと」と断言する小林さん。
「本人が臆せずカミングアウトするのはもちろんのこと、周囲も『イイ感じですね』なんて前向きな表現で、積極的に声をかけてあげる。見方を変えれば、これほど会話のツカミになる話題はない。そこで爽やかな笑いが起これば最高じゃないですか」
小林さんは十数年来、スヴェンソンの編み込み式カツラを愛用。
「これ以上に使い心地がよく、髪形も納得できるカツラには出合えていない」とか
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