デフレと言うが金価格で見れば激しいインフレ状態の日本
マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏
野田首相は自民党・安倍総裁との党首討論で解散を宣言。原発、消費税、TPPの是非を国民が下す選挙だが、反対勢力が分立し、推進派に有利な状況だ。市場は金融緩和政策推進を予測して円安・株高が始動したが、実際は?
◆原発・消費税・TPP選挙、自民安倍の金融緩和主張で円安・株高は持続するのか【後編】
⇒【前編】はこちら
安倍氏は日銀の金融緩和政策を強化する方針を発表。単に金融緩和を強化するだけでなく、日銀法を改正し、日銀に対する政府の支配権を強化する構想を示しているのだ。また、財政法が禁じている国債日銀引き受けを容認する法改正の可能性まで示唆した。
この安倍発言に反応して金融市場では円安が進行し、連動して株高の状況が生まれた。
’08年以降、日本の株価は為替レート変動に連動してきた。円高が進めば株安となり、円安になれば株高という状況を生んできたのだ。そのため、安倍政権誕生が日本の金融市場に大活況をもたらすとの期待が生まれ始めている。
しかし、大きな落とし穴があることを忘れてはならない。
現在の日本はデフレと言われているが、金地金は日本円に対して、過去4年で2倍も上昇している。金価格で見れば激しいインフレなのである。
日銀を政府の支配下に置く政策は、長い目で見ればリスクが大きい。金利急騰、本格インフレを招来するリスクを高めるからだ。行きすぎた金融緩和がかつての狂乱物価を招いた教訓を忘れてはならない。
【今週の数字】
金価格
2倍
経済の低迷、一般物価の下落、金融システム不安を総称して「デフレ」という言葉が使われて久しい。デフレ脱却のための国債日銀引き受けまで提案され始めたが、直近4年で金価格は2倍にまで高騰している
【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。著書に『消費増税亡国論』(飛鳥新社)
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『消費増税亡国論』 植草一秀が野田政権を切る!
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