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増税で家計消費が急速氷結!日本経済は本当に大丈夫?

メディアは消費税増税の影響を「軽微」と伝えてきた。しかし、発表される経済指標はこの報道とは異なり、かなり深刻な消費の冷え込みが確認されつつある。’15年10月の消費税増税が実行されれば、日本経済は墜落しないのか? ◆家計消費が急速氷結!消費増税10%で日本経済は撃墜か!?
(政治経済学者 植草一秀氏)
 6月27日、5月の家計調査結果が発表された。夫婦子2人の一般世帯の消費が前年同月比▲8.0%の大幅な落ち込みを示したのだ。マスメディアが「消費税増税の影響は軽微である」と言い続けてきたのと比べ、かなり違和感のある数字が発表されたのである。 ⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=677198
消費支出

過去2回の増税と比べても、5月の消費支出の落ち込みは深刻。このままいけば、来年10月の消費税増税が致命傷となりかねない

 ’89年と’97年の過去2回の消費税増税時の消費の落ち込みと比べてみても、今回の落ち込みはあまりにも激しく、衝撃を与えている。  ここで、我々が頭に入れておかなければならない第一の注意点は、メディア情報を信用してはいけないということだ。4月28日更新の記事「再び消費者行動は凍りつく」(https://nikkan-spa.jp/630649)でも述べたが、財務省内には「TPR」と呼ばれる情報操作のプロジェクトがある。TAXのPRということなのだが、実際は、増税実現のための情報統制活動だ。  私はこのプロジェクトが発足したときに、大蔵省の当該部署に所属していた。だから、どのようなことをやっていたかをすべて把握している。同プロジェクトの一番重要な仕事は、大新聞とテレビの報道内容を統制することだ。現在の状況で言えば、増税の影響が大きいと報道させないことである。  だから、メディアの増税軽微の報道は眉唾で聞いておく必要がある。いくら報道を統制しても経済統計までは操作できない。そこで出てきたのが今回の統計だ。  特に住宅、自動車、装身具、時計などで激しい影響が出ている。百貨店による増税実施後の緊急セールなどでも、来客数が大幅に減少しているのではないだろうか。  一部の富裕層は別にして、庶民にとって今回の増税は本当に身にこたえるものになっている。安倍首相は「賃金が増えている」と言い、たしかに現金給与総額統計に示される数値を見ると、’14年3月から前年比でプラスに転じたことは確認できる。ようやくわずかだが賃金が増え始めている。
植草一秀氏

植草一秀氏

 しかし、喜ぶわけにはいかない。インフレ率が急上昇しているのだ。’13年度の消費者物価上昇率は+0.8%だったが、’14年5月の上昇率は+3.4%に跳ね上がっている。消費税増税の影響を除いても上昇率は+1.7%だ。賃金がわずかに増えても、それを消し去る物価上昇が生じている。 ⇒【後編】に続く https://nikkan-spa.jp/677012 【選者】植草一秀氏 シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。7月に『日本の真実-安倍政権の偽計と幻想-』(仮題、ビジネス社)を刊行予定
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