日本株価が反発するには追加増税の先送りが必要
昨年末を高値に低迷が続く日本の株価。安倍政権の消費税増税が実行されたからにほかならないが、経済悪化の割に株価は底堅い。その主因は指標面から見た日本株価の割安さだ。潜在的な上昇力を引き出す秘策を紹介しよう!
◆意外と底堅い!日本の株価が上昇に転じる条件とは?【後編】(政治経済学者 植草一秀氏)
⇒【前編】はコチラ
株式はリターンが確定しない危険資産だから、利回りが確定する債券よりも高いリターンを投資家は求める。したがって、株式益利回りは債券利回りよりも高くなる。
この乖離を3%とし、日本の債券利回りの落ち着きどころを1%とすると、日本の適正な株式益利回りは4%となる。これをPERに換算すると、25倍。つまり、日本株価はPER25倍まで買われておかしくないわけだ。
◆株価が反発するには、追加増税の先送りが必要
5月23日時点の日経平均は1万4462円でPERは14.5倍。PER25倍まで買われると、日経平均は2万4900円になり、日本株価には潜在的な強い上昇力があるということになる。
問題は経済の基本方向で、経済悪化加速の局面では株価修正が生じにくい。逆に、経済底入れ観測が強まれば、株価修正が生じやすくなる。
安倍政権が来年の消費税率の2%追加引き上げ見送りを公表すれば、日本株価は急激な反発を演じる可能性があると見ておきたい。
【今週の数字】
日経平均株価の上昇目標
2万4900円
株価理論値の算出基準に株式益利回りを置くと、適正な株式益利回りは4%でPERは25倍。現在の株価PER14.5倍を踏まえれば、大きな上昇余力があることになる
【選者】植草一秀氏
シンクタンク主席エコノミストなどを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログは「植草一秀の『知られざる真実』」。近著に『日本経済撃墜-政策逆噴射の恐怖-』(ビジネス社)がある
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