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【街角の景気を大調査】マネー誌はウハウハ

日経平均は年初から約20%も上がり、一部の企業では賃上げを決めた。しかし、街中の景況感と株式市場の温度は明らかに違う。実際、アベノミクスで景気は回復しているのか? 兜町界隈から百貨店、旅行代理店、そして夜の銀座まで、さまざまな街角景気を調査してきた! ◆家計にもアベノミクス波及?街角景気を、いざ調査!
永濱利廣氏

永濱利廣氏

「大方の予想を上回る円安と株高で、家計部門にも景気回復の恩恵が及びつつあります」と話すのは、第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣氏。 「内閣府の景気動向調査では、生産活動の回復などから昨年11月、日本経済は底打ちした可能性が高いと見ています。そこにアベノミクスによる株高や消費者心理の好転が加わり、景気は回復途上にあります。“街角景気指標”とも呼ばれる『景気ウォッチャー調査』(図参照:https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=412295)も判断指数が2月まで4か月連続で上昇していて、景気回復を裏付けています」
景気ウォッチャー

景気に敏感な職業の人に景気の現状や見通しを聞く調査で、“街角景気”とも呼ばれる。4か月連続で上昇しており、2月は景気のいい・悪いの判断の分かれ目となる50を超えた

 昨年から、労働者の残業代や平均所得も増加している可能性が高いという。また、まだ非正規が中心ではあるが、就職件数や有効求人倍率も改善している。 「経験則に照らせば、日本の雇用者数は今春以降、明確に回復するでしょう。これまで収入を得られなかった人が収入を確保することになり、家計所得の増加に繋がることが期待されます」(永濱氏)  とはいえ、今のところまだ円安や株価上昇の恩恵を実感できないのが現状。街中の景気はどうなのか? 実際に調査してみた。 ◆株価上昇の恩恵で投資・マネー業界は活況!
ネットマネー

最も当たるマネー誌として話題になった『ネットマネー』(産経新聞出版)など、月刊のマネー誌は完売状態が続く熱狂ぶり

 株価回復で真っ先に潤うのは証券会社だ。 「各社とも『稼げるうちに稼ぐ』が合言葉になっています。いつまた株安に逆戻りするかわからないので、中堅・地場証券では、ディーラーや営業マンを中途採用し、収益極大化を急いでいます」(中堅証券ディーラー)  求められる人材は「即戦力」。兜町界隈では、日本アジア証券が歩合営業マンを募集しているほか、りそな系のむさし証券や独立系で東証1部の光世証券では契約ディーラーを中途採用している。 「もともとディーラーとして働いていましたが、声をかけてもらって、より条件のいい地場証券に転職できました」という人も。  株高で月刊マネー誌の販売も絶好調だ。 慢性的な不況が続く出版業界だが、ここ2~3か月、毎号のように完売が続いている。『ネットマネー』(産経新聞出版)や『日経マネー』(日経BP社)など主要マネー誌だけでなく、『週刊東洋経済』『週刊ポスト』などのビジネス誌や一般週刊誌も株特集が大人気。 「営業が『編集部に残っている在庫はありませんか?』と連絡をして、編集部まで取りに来るほど。大手書店が店頭販売部数を1時間ごとに送信してくるたびに、編集部が沸き立っています!」(マネー誌・若手編集者)  ただ、東洋経済新報社では昨年10月、半世紀以上続いた『オール投資』を休刊したばかり。 「株価反転の1か月前というタイミングで、老舗雑誌も株価底打ちは読めなかった。月刊マネー誌にとってはライバルが減った格好で、“オール投資休刊”という敵失も、マネー誌販売好調の要因というのが定説ですね」(株式記者) 【永濱利廣氏】 第一生命経済研究所・主席エコノミスト。『日本で一番やさしい「アベノミクス」超入門』が4/5発売予定 ― 街角の景気を大調査[アベノミクス景況感]悲喜こもごも【1】 ―
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