雑学

現代の“泣ける小説”の完成形はコレだ【杉江松恋さん推薦】

最近、いつ泣きましたか? 感動の涙には、日頃たまったうっぷんを解消する効果があるそう。疲れた心の修復と明日への活力のために、その道の達人が、必涙の傑作を推薦! 今回はあらゆるジャンルの書籍をレビューする杉江松恋氏が泣ける書籍を紹介する。

◆書籍…自分の“泣きのツボ”を知り運命の本と出会おう

杉江松恋氏

杉江松恋氏

 本を読んで“泣ける”かどうかは、読む人のそれまでの人生経験や、個人的体験に大きく左右されるもの。「俺は子供のおつかいモノに弱い」「私は老人の夫婦愛モノで涙腺崩壊しちゃう」など、人それぞれ“泣きのツボ”はまったく違うので、「この本だから必ず泣ける」という一般則があるわけではありません。

 それを踏まえたうえで、より多くの人の“泣きのツボ”を押さえていると思われるおすすめが、下記に挙げた5作品です。特に『パパはジョニーっていうんだ』という絵本は、大人が読めば誰でもボロ泣きしてしまうはず。一方、『蜩ノ記』も読者を泣かせるための計算やノウハウがすべて詰まっており、“泣ける小説”としてひとつの到達点に達したといえるでしょう。

 ちなみに、共感は得にくいと思いますが、僕の個人的な“泣きのツボ”は「バカが一生懸命やっている姿」。なかでも、水道橋博士の『お笑い男の星座』(文藝春秋)に収録されている江頭2:50の水中息止め対決のエピソードは、「バカも振り切れると感動を呼ぶ」という意味で、異色の“泣ける本”だと思います。“泣ける本”と出会うには、自分の“泣きのツボ”はどこにあるのかを把握しておくことが必要ですね。

パパはジョニーっていうんだ●『パパはジョニーっていうんだ』
(ボー・R・ホルムベルイ)

離婚して離ればなれになった父親ジョニーとその息子が、月に一度だけ再会する一晩を描いた絵本。「大人なら、これを読んで泣かない人はいません」と言うとおりの号泣必至作品(BL出版)

神様のカルテ2 ●『神様のカルテ 2 』
(夏川草介)

救える命と救えない命がある医者の限界について踏み込んだ作品。杉江氏いわく「第1作よりも格段にうまくなっている。難病モノのパターンとしては鉄壁のプロットで、読者を引き込みます」(小学館)

舟を編む●『舟を編む』
(三浦しをん)

松田龍平主演で映画も公開中。主人公よりも、辞書編纂部から営業部へと異動になった男が、自分のやり方で今も辞書編纂部のためにできることを努力している……という展開にホロリ(光文社)

どこ行くの、パパ?●『どこ行くの、パパ?』
ジャン=ルイフルニエ

重度の身体的・知的障害のある2人の息子との日々を綴った著者の自伝的小説。気が遠くなるような不安や苦しみを、あえてカラリとしたユーモアで描いたギャップが胸を打つ(白水社)

蜩ノ記●『蜩ノ記』
(葉室 麟)

3年後の切腹が決まっている罪人のもとへお目付け役として使わされた侍との交流を描く。杉江氏が「現代のエンターテインメント小説が到達した、泣かせるプロットの完成形」と断言する一冊(祥伝社)

【杉江松恋氏】
1968年、東京都生まれ。ミステリー書評を中心に、あらゆるジャンルの書籍をレビューする。著書に『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』(太田出版)、『同じ月を見ている』(小学館)など

― [鉄板で泣ける名作]40選【2】 ―

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