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【参院選】アベノミクスは若者世代に得なのか?損なのか?

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自民党公式HPより

 6月26日、国会が閉会した。永田町は選挙モード一色となっているものの、有権者の側から見たら、近年まれに見るほど盛り上がりに欠けた戦いになりそうな気配だ。それもそのはず。今回の参院選は、発足から半年の安倍政権に対する“中間テスト”に過ぎない。先に行われた東京都議選を例に挙げるまでもなく、争点らしい争点のない選挙は有権者の関心も薄く、当然投票率は低く出る傾向にあるからだ。

 だが、今回の参院選はネット選挙解禁後「初」となる国政選挙でもある。7月21日の投開票日当日まで自ら進んで情報の受け手にもなれるし、勝手連の一人として積極的に発信者側に立てるようにもなった。久しく、人口比においても投票率においても「不利」と言われ続けてきた20~30代の若者世代にとっても、今回の参院選は政治参加の第一歩としていいきっかけになるはず。だからこそ、今一度吟味したうえで、安倍政権の信任投票には臨みたいところだ。

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 現在、アベノミクスの熱狂で“景気楽観論”が日本中を覆っている。株価が乱高下するなどまだまだ安穏とした状況とは言えないものの、企業や家計のマインドは少しずつだが好転し、多少値の張った嗜好品の売り上げも好調だ。企業業績もいい方向に推移しているが、そんな中、国会会期中の今月半ばに、政府は経済財政運営の基本指針「骨太の方針」と、成長戦略・規制改革の実施計画を閣議決定している。これで、鳴り物入りで始まったアベノミクスの“3本の矢”が選挙前にギリギリ出揃った格好だが、この最後に放った「民間投資を喚起する成長戦略」の矢こそアベノミクスの肝中の肝。「国家戦略特区」の創設や薬のネット販売解禁、PFI(民間資金活用による社会資本整備)など話題に事欠かない政策が並ぶなか、特に関心を集めたのが、若者世代の生活にも直結する「1人当たりのGNI(国民総所得)を10年後に150万円増やす」という成長目標だった。

 帝国データバンクの調査では、アベノミクスによって現在景況感を感じていると答えた企業は、6月時点で40%を超えているという結果も出ている。3本目の矢として放った成長戦略が軌道に乗りさえすれば、今まで低く抑え続けられてきた若者世代の平均賃金も、今後劇的に改善されていくということなのか。

 アベノミクス批判の急先鋒として知られる慶応義塾大学ビジネススクール准教授・小幡績氏が言う。

「むしろ、平均賃金はこの先確実に下がっていきますよ。割高な給料をもらっていた団塊世代が引退して、低賃金の若年層が労働市場に入ってくるわけだから平均賃金は絶対に下がるものなんです……。この結果、高給を取っていた社員が出ていくので、企業は儲かる。ところが、浮いた人件費が若者には回ることはない……。正社員になりたい人がダブついている現状では、企業は給料を上げる必要がないからです。近い将来、非正規雇用の割合が減り、正社員が増えていく可能性はあるけれど、これはアベノミクスとは何の関係もない(笑)。ミクロではトヨタの業績が回復して、給料が上がっても、国全体で見た平均賃金は別の話。つまり、アベノミクス云々以前に、いよいよ日本経済が復活する状況が整い始めたのが今というわけです。あたかもアベノミクスの成果のように礼賛する声もあるが、実は、その前から東証2部の中堅企業を中心に企業収益は上がっていた。もっと早く賃上げもできたが、安倍首相の呼びかけにたまたま応えられるタイミングだったということですよ……」

 さらに小幡氏は、アベノミクスが掲げる規制緩和は、「名ばかり」の規制緩和であると指摘する。

「そもそも規制緩和で劇的に経済が変わって、成長するということはありえない。新しい産業や企業など生まれてくるわけがないのです。規制緩和というのは、既得権益を持つ従来型の大企業にとって都合のよいように規制を変えるということ。(成長戦略を)発表当初、経団連の米倉会長が『非常に力強い』と絶賛していましたが、これは裏を返せば『自分たちの意向に沿っている』という意味。今の若い世代は、そもそも、これら古い大企業の正社員にはなれなかった人が大半で、彼らのためには、経団連などに入っていない新しい企業を生み出すことが重要です。オジさんたちの企業のほうばかりを向いているアベノミクスは、少なくとも若い労働者にはメリットをもたらしません」

 選挙前の大方の下馬評では、自民・公明両党で、非改選組を含んだ参院過半数(122議席)獲得の勢いだという。安倍政権は、選挙後も「経済最優先」でいくことを公言しているが……。果たして、アベノミクスによる熱狂は、若者世代にどれほどのメリットをもたらしてくれるのか? <取材・文/日刊SPA!取材班>




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