金融マンが仕掛けた町おこしは「人もカネも集める」
岩手県紫波町。地図上で盛岡市のすぐ下にあたるこの町の駅前都市整備事業(オガールプロジェクト)に携わってきたぐっちーさん。メイン施設となるオガールプラザが6月で開館1年を迎えたことを機に、改めて地方発展についてぐっちーさんが語った。
◆人を集めて、お金を集める!これが町おこしの基本です(現役金融マン ぐっちーさん)
自慢話になりますが、6月6日に行われた経済諮問会議にて私が携わってきた岩手県オガールプロジェクトが「PPI/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン」の中で民間活用資金の代表例として紹介されました。テレビなどでも放送されたのでご覧になった方も多いのではないでしょうか。
私は震災前から約5年間この仕事にかかわってきましたが、崩壊する中途半端な「町おこし」的プロジェクトをたくさん見てきたので、その片棒だけは担ぎたくありませんでした。
そこでプロジェクト責任者の岡崎氏と藤原町長に、「本当にお金を儲ける気があるんでしょうね」と何度も確認をしました。この種のプロジェクトの失敗例ではすべて採算性の部分が無視されています。だからそこに徹底的にこだわる必要がある。そうしなければ建物の維持管理が地元の皆様の大きな負担になってしまうのです。
実はこの仕組み自体は、かの悪名高き「証券化商品」と全く同じ仕組みでファイナンスをしており、違いはアセットにばらばらになったサブプライムが入っているか、オガール紫波が入っているかの違いしかありません(笑)。オガールのケースではこの証券化商品の基になる資産はオガール紫波及びそこから生み出されるキャッシュフローしかありません。ローンを出す銀行としてはテナントが入らなくなった瞬間に家賃収入がなくなり、不良債権となるわけです。
しかし、この仕組みの素晴らしいところは株式部分がクッションになり、そこに紫波町の地元の皆様と政府(今回の場合、民間都市開発機構)が出資をしている点であります。
銀行から見ると万が一テナント収入が途絶えればその株式から毀損させられますし、その間は家賃収入分を確保できる。オガール紫波の査定を厳密にすれば単体の事業者に貸すよりはるかに安全性が高い。
⇒【後編】へ続く https://nikkan-spa.jp/473820
【選者】現役金融マン ぐっちーさん
ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)を主宰している
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