水辺や水中での撮影が手軽にできる防水性能を備えたタフなコンパクトデジカメが多数登場している。水中カメラマンの中野誠志氏に素人でも簡単に撮影できる水中撮影のコツを教わった
⇒【準備編】はこちら https://nikkan-spa.jp/479604
【今回使ったカメラ】STYLUS TG-2 Tough
タフなコンデジシリーズの最上級モデル。水深15mまで撮影可能。高精細なマクロ撮影、水中用の撮影モードに定評がある オリンパス/実勢価格:3万9000円
◆フォーカスにこだわる
海藻ウミウチワ。手前をボカすと印象的に
「基本は両脇をしめ、可能なら岩で固定してブレないようにします。茂みや魚の群れでもどこにピントを合わすか意識して、被写体の手前や奥の構図にこだわりを。さらに、シャッターボタン半押しでフォーカスをロックした状態で、あえてピントをずらすことで、幻想的な写真になります。ぜひ挑戦してください」(中野氏)
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ボカし写真例。均一なパターン向き
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ラッパウニ。触手の先端がラッパ状
◆ズーム・フラッシュは慎重に
クロダイ。近づくと逃げる魚はズームで
「被写体本来の色合いを再現するためには、フラッシュやLEDライトを使います。ただし、浮遊物があるなかフラッシュを使うとハレーションを起こします。地上よりもフラッシュの光が届く距離が短い点にも注意です。ズームも同様、被写体との距離が長くなる分、浮遊物が写り込みやすくなるので気をつけましょう」(中野氏)
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浮遊物が多い所ではフラッシュ禁止
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LEDを使うと自然な発色に
◆マクロ撮影で神秘の世界へ
ケヤリムシ。超解像ズームでミクロの世界へ
「コンデジのマクロ撮影モードは水中撮影で大活躍します。岩肌が安全か確認して固定した状態で、近寄っても逃げないウミウシや海藻、ウニなどが被写体にピッタリです。ズームしても劣化しない超解像ズームを備えているTG-2などの機種では、肉眼では見えない極小の世界をのぞくことができます。フラッシュやLEDライトを使うと、被写体本来の美しい色合いが出ます」(中野氏)
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クツワハゼ。クリッとした目が特徴
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ガンガゼ(ウニの仲間)
◆フィルター機能でおちゃめ撮影
光にクロスが入るフィルターで水泡がきらめく
「曇りや雨上がりで撮影条件が厳しいときは、加工撮影モードで遊んでみましょう。トイカメラ風にしたり、光にクロスを入れたり、コントラストを極端に高めたりすることで、見たことのない世界が現れます。ダイバーの間でもミラーモードで魚を撮影して、新種の生物をつくりだす遊びが好評です(笑)」(中野氏)
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高コントラストで雰囲気が激変
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ミラーで面白画像を手軽に撮影
◆体験ダイビングで一度潜るとハマる水中撮影の世界
今回、水中撮影に初挑戦した記者は、一度の体験ダイビングで完全にハマってしまった。中野氏が「シュノーケリングでも、陸上より多様な生物を間近で感じることができます」と、魅力を語っていたとおりであった。この夏、本記事を参考に水中撮影に挑戦してみてはいかがだろうか。その際、盗撮と間違われないよう気をつけよう。
【はごろもマリンサービス大瀬崎】
年間3万人が訪れる日本屈指のスポット。体験ダイビングあり。富士山や温泉も魅力
http://hagoromomarin-ose.com
取材・文・撮影/林 健太 撮影/中野誠志
― はじめての水中撮影術【2】 ―