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「僕は、下半身が動かない障害者になりました」マンションから飛び降りた31歳男性の“過酷な現実”

 自殺で命を落とす者たちがいれば、未遂で生き永らえる者たちもいる。“死ねなかった”人々はどんな後遺症を抱え、その後どのような人生を歩むのか。彼らの声に耳を傾け、“生きること”の意味を考える。

「生きづらさに殺される」自殺未遂で下半身不随に

[自殺に失敗した人]が生きる人生

死にたい気持ちに悩まされつつも「生きていていいんだと最近思えた」と吉野さん

「4階のマンションの部屋から、頭から着地するように後ろ向きに飛び降りた。確実に逝けると思ったんです」  そう語るのは吉野聡さん(仮名・31歳)。飛び降りた直後に友人に発見され、一命を取り留めた。しかしその代償は、脊髄損傷、下半身不随という重すぎる現実だった。

生きづらさの原因になったものは?

「僕が幼稚園の頃から、統合失調症を患う母が突然ヒステリーを起こして家中引っかき回したり、僕をかばってくれた祖母と大喧嘩をしたり常に荒れていた。父とは僕が小学校低学年の頃に離婚。いつしか『自分は死んだほうがいい』と思うようになったんです」  自殺の原因は他にもある。 「同性しか愛せない自分の性的指向も悩みでした。それに、勤め先のコールセンターで毎日罵声を浴びるのも辛かった」
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「自力で排泄も入浴もできない」
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