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日本でも暴動発生!? 「きっかけ次第で暴動はいつでも起こる」

london riots3 ロンドンの暴動はこれまでの政治的な暴動ではなく、もっと深刻な問題を抱えているという。これは「決して欧州に留まらない」とはアナリストの青木文鷹氏。今後ヨーロッパへの影響、そして日本にはどのような関わりがあるのだろうか? 青木 今回の「多発的略奪犯罪」は犯罪グループの経済的事情が原因の一端にあり、人種や宗教、政治的主張などとは何ら関係がありません。この点については「ジャスミン革命=貧困による一揆」と以前、私がツイッターで指摘したのと同じでしょう。政治利用しようとする人はいるが、本質は別ものです。逆に、政治や人種や宗教と直接的に関連していないぶん、より深刻なのです。暴徒を移民貧困層の若者としたのは、人的コネクションによりギャングが最も声を掛けやすく、かつ祭りに乗りやすい人達だからです。別に人種や移民に対する偏見ではなくて、これは単純にネットワーク構造の問題です。また、ギャングが最初に引きずり込んだのは移民貧困層の若者ですが、その後暴動が大きくなってから相乗りした人達も大量に発生しました。このような「騒動に煽られて参加してくる人達」というのは何処の世界にもいます。社会に不満を持っている人達が暴動を見て興奮し、参加するのは何処の世界でも起こりうるのです。 ――暴動、略奪に参加した人たちは「ギャング→移民貧困層の若者→それを見た不満分子」と言う流れになります。 青木 しかし、最終的に逮捕されるのはこの逆の順番。これは大量の逮捕者の中に占めるギャングの人数が比較的少なかったこともこれを証明していると言えます。そして同様の手口で暴動を起こしやすくなることから、「逮捕者に中産階級が多ければ多いほど、社会的には危険な状態」といえるのです。 ――ロンドン暴動について「特定グループ(ギャング)の経済事情」と「充満した社会不満」の複合であると分析しています。この分析は何を物語っているのでしょうか? 青木 問題は、「同様の環境を抱えている国が英国だけではない」という点です。つまり、他の国でもきっかけさえあれば、このような略奪が発生しうると言うことです。社会に不満を持つ層があり、その層が社会の中に溶け込めておらず、かつ経済状況の悪化が見込まれる環境であれば、ちょっとした火種が発生すれば、それを契機に同様の仕掛けが可能だからです。このような点で現在特に危険なのはドイツです。ドイツは英国と同様に移民問題を抱え、ユーロ参加による価格競争力もあり経済は堅調なものの、東ドイツ統合の悪材料を今も引きずっています。さらにEU諸国の財政悪化の救済はドイツが一手に引き受けている状態で、その救済資金は当然ドイツ国民の税金でまかなわれているため、市民には不満が溜まっている。先に上げた要素がすべて揃っているのです。きっかけさえあれば、犯罪組織やテロリストがドイツで同様の手口を用いて暴動を起こし、社会混乱を作り出すことは充分に考えられます。そしてドイツの社会情勢が悪化すればEU諸国は共倒れになる可能性が高い。この点から見ても、今回のロンドン暴動は「英国だけの問題ではない」と言えるでしょう。 ――翻って日本ですが、不法滞在者の問題や移民の是非など話題になっています。 青木 現状ではイギリスやドイツと違ってそれほど差し迫っているわけではありません。しかし、今後移民の受け入れや経済状況の悪化、不法滞在者の増加などが連鎖して起これば、他人事ではなくなる可能性は充分にあります。ロンドンの暴動は革命や一揆などではなく、“キッカケ”を利用した大規模かつ悪質な「犯罪」であり、その犯罪を是とする移民貧困層の若者が多数存在している事情が拍車をかけたのです。ロンドンが投げかけた問いを、日本も重く受け止める必要があるでしょう。 構成/犬飼孝司(本誌) 写真/George Rex from flickr ― ロンドン暴動の裏で何が起きていたのか?【3】 ―
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