中国経済は意外と底堅い?
◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏
’10年に世界第2位の経済大国の地位に浮上した中国経済だが、サブプライム金融危機の荒波を受けて経済成長率の大幅減速が続く。シャドーバンキング問題が深刻化する一方で、底入れ模索の観測も存在。現実はどちらに進むのか。
◆中国経済崩壊は感情論にすぎない!? 底入れ観測もある中国PMI指数に注視すべし!【後編】
⇒【前編】「中国経済崩壊はアンチによる風説」はこちら
感情論ではなく、現実の事実関係=ファクトに基づいて考察をしないと、単なる嫌中アジテーションになってしまう。では、中国経済を見る際に何を基軸にしたらいいのかという質問をよく聞く。
そこで、紹介しておきたい「極意」が下に示した1枚のチャートだ。中国の経済指標であるHSBC製造業PMI指数と上海総合株価指数を比較したものだ。両者の動きは驚くほど似ている。
PMI指数は、製造業の購買部長へのアンケート結果を数値化したもの。50を超えれば景気堅調、50を下回れば景気低迷とされる。チャートを見ると、中国株価の変動は驚くほどに理路整然としている。意味なく株価が低迷しているのでなく、中国経済の長期低迷を正確に映して推移してきたのだ。
注目すべきは、8月の指数が4か月ぶりに50を上回ったことだ。もし9月下旬に発表される9月統計数値が2か月連続で50を上回れば、底入れ観測が一気に広がる。逆に、50を大幅に下回れば株価と経済の底割れの可能性が高まる。
掴みどころのない中国経済・株価だが、信頼を置ける経済指標に注目すれば中国の動きが俄然よく見え始めるというわけだ。
【今週の数字】
HSBC製造業PMI指数準
50.1
中国経済はとにかくわかりにくい。政府発表のGDP統計ですら、真実の数字ではないとの指摘もある。その経済動向を捉えるうえで、これこそ極意となる経済指標だ
【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/)。『アベノリスク』(講談社刊)を7月上旬に上梓
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