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調整の円高が93円程度はありうる理由

吉田 恒

吉田 恒氏

 安倍円安だ、黒田円安だと大騒ぎしたものの、今のところドル高・円安は5月103円で一段落した形となっている。でもこれはあくまで円安の「中休み」で、再び103円を超えるドル高・円安になるとの見方は少なくない。それはそうだとして、ではそれまでの間にどの程度のドル安・円高がありうるのか。 ◆52週移動平均線の法則を知っていますか  米国では緩和縮小、一方の日銀は「黒田緩和」継続ということなら、日米金融政策の示唆する方向性はドル高・円安になるはず。ところが、10月に入り少しドル安・円高気味になっている。では、日米金融政策が示唆する方向と逆行するドル安・円高はどの程度ありうるのか。  それを考えるうえで目安になりそうなのは52週移動平均線だろう。この移動平均は、経験的に中期トレンドに対する「ダマシ」が少ない。その意味では、上述のように日米金融政策が示唆する中期ドル高・円安に変わりないなら、それと逆行するドル安・円高も、基本的には52週線が限界点の目安になる。  さて、その52週線は足元で93円程度。その意味では、中期ドル高・円安に変わりないなら、それと逆行するドル安・円高も、52週線が足元で位置する93円程度を大きくドルが割り込まない程度にとどまる見通しになる。ただ、別な言い方をすると、中期ドル高・円安に変わりなくても、その程度までのドル安・円高はありうるようだ。(了) 【吉田 恒氏】 1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。 2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
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