コメ生産者が産地偽装を示唆「茨城産米を群馬産にする」
放射能問題は実りの秋を迎え、これらの地域で収穫される「食品」へと関心がシフトしつつある。そんななか、厳密な検査を行っても、風評被害で出荷販売できない作物が闇で流通の危険性が高まっているという。
今まさに進められている稲ワラの調査結果次第では、深刻な米不足が起きかねない。だが、現段階ではセシウムの不検出が相次ぎ、危機的な状況には陥らないとの見方もあるが、生産現場の声は違う。
栃木県と福島県の境で米作農家を営む加藤清彦さん(仮名)は次のように話す。
「消費者が検査対象地域の米は買いたくないという消費動向を示せば、われわれの元には市場に出回らない大量の米が残ることになる。つまり、不作によりものではなく、風評による米不足が発生しかねないんです」
この風評による米不足と一部地域の米余りがもたらす結果として、流通の現場で不安視されているのが、検査地域米の産地偽装による不正流通だ。
米小売店経営の林信二郎さん(仮名)は「米の安全」について、危機感を語る。
「米ほど偽装が多い食べ物はないと思うんです。大手商社は、何tという単位で米を混ぜますから。ある小売チェーンでは100%コシヒカリの商品なんて皆無という噂すらあるくらい。専門商社→卸売→小売の過程で、どんどん混ざっていく」
大手商社の流通ですらこの有り様なら、より監視の緩い小規模な流通はどうか。群馬県や栃木県、茨城県で約500反もの広大な水田を管理・生産する堀田建三さん(仮名)が話す。
「俺は3県に股がって30年以上米を作ってきたけど、今回、茨城県鉾田市でセシウムが検出されたから、茨城県産ではもう売れない。出荷時にはすべて群馬県産にするよ。どうせ品種だっていろいろ混てしまえば、検査官でも見た目わからないし、厳密に調べようと思ったら、DNA鑑定しないとわからない。でも、そこまではしないよ。かと言って、精密な検査を実施して出荷停止米が急増したら、東日本の生産地で暴動が起きちゃうよ!」
週刊SPA!9/6発売号「[放射能被害食品が闇で流通]の戦慄」特集では、米のほか、野菜や魚に関する闇流通を取材している。
取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
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