3大メガバンクへの立ち入り検査を実施した金融庁の思惑【後編】

みずほ問題が他の金融機関に波及している。新生銀行子会社のアプラスや三菱東京UFJ銀行傘下のジャックスなどでも問題融資が発覚したのだ。3大メガバンクへの立ち入り検査を実施した金融庁の思惑を探る

◆業務改善命令から一転、3大メガバンクへの立ち入り検査を実施した金融庁の思惑【後編】(ブログ&有料メルマガ管理人「闇株新聞」氏)

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 ところが10月8日に、みずほ銀行の歴代を含むトップまでが認識していた「証拠」がどこからか出てきてしまった。’02年に富士・一勧・興銀が合併して発足したみずほ銀行は、ようやく本年7月に興銀出身の佐藤頭取の1トップ体制となった。今も続く派閥争いの産物だったのかもしれない。

 そこで佐藤頭取が同日夕刻に急遽会見を開き、富士銀行出身の前頭取が認識していたことなどを発表した。問題がこれ以上拡大することを防いだとも言えるが、同時に検査した金融庁が見落としていた可能性も示唆してしまった。

 この時点で金融庁にとって最も深刻な問題は、みずほ銀行が反社会勢力に融資していたことでも、それを2年間も放置していたことでも、あげくの果てにトップまで認識していたことでもなく、「検査で見落としていた可能性」を佐藤頭取が示唆してしまったことである。だから間髪を入れずに、みずほ銀行を含む3大メガバンクに検査に入り、「金融庁は絶対に見落とさない」と強調するのである。特にみずほ銀行については徹底的に調べ上げ、少しでも問題が出てくれば今度は佐藤頭取の首を取りに来るはずだ。官僚を怒らせたり、特に官僚のミスを指摘したりすると、大変に怖いのである。なお、’03年に検査忌避がとがめられたUFJは、最終的に東京三菱銀行に吸収されて消滅してしまっている。

◆暴力団向け融資が発覚した信販会社

●みずほ銀行傘下 オリエントコーポレーション
今年3月末時点でみずほ銀行と旧みずほコーポレート銀行(今年7月に合併)合わせて、オリコの発行済み株式の23.8%を保有。オリコを介した問題融資は230件、金額にして2億円超

●三菱東京UFJ銀行傘下 ジャックス
三菱東京UFJ銀行が20%の株式を保有。信託銀行や生損保などと契約のうえ実施している提携ローンはオリコに次ぐ規模で3月末時点の残高は約7600億円。そのうち数件で反社向け融資が発覚

●新生銀行子会社 アプラス
新生銀行の出資比率が94.8%。同じく新生銀行子会社である新生信託銀行がアプラスを通じて、反社向け融資を行っていた事例が十数件判明。新生信託は審査をアプラスに丸投げしていた

【今週の数字】
’13年9月末時点のオリコ提携ローン残高
1兆3000億円
反社会勢力へ融資が判明したオリコの提携ローン残高。国内全体の提携ローン残高の約3分の1を占める。提携する北洋銀行などの地銀は今回の問題を受け、契約解除

【選者】「闇株新聞」氏
’10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に’11年10月の「オリンパス事件」と’12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事をアップして話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。今年4月には『闇株新聞 the book』を上梓




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