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ガンダム、腎臓、兵器もコピー!?中国は3Dプリンタ先進国だ

3Dプリンタ, 中国 3Dプリンタは「世紀の発明」と持て囃される半面、拳銃や鍵の複製など悪用を不安視する声も高まっているが、中国でも急スピードで普及が進んでいる。  3Dプリンタ関連ビジネスの調査会社・米ウォーラーズ・アソシエイト社のリポートによると、’12年の中国国内での3Dプリンタの普及台数は米国の4分の1にとどまっているが、’16年までに世界最大となる約1600億円の市場規模に成長すると予測されている。  中国在住のジャーナリスト・吉井透氏は、3Dプリンタ関連ビジネスは中国が世界を牽引していくと見ている。 「中国では、’80年代から3Dプリンタの研究が行われてきた。当時の目的は、海外の兵器や工業製品のコピーです。国策として3Dプリンタの開発に取り組んできたのは、おそらく世界でも中国が最初ではないでしょうか」  例えば医療分野でも、中国では一足先に3Dプリンタの実用化が進んでいる。『人民日報』によると、北京大学第三医院では、3Dプリンタで出力した人工骨による治療が行われており、7月までにすでに40人に移植されたという。  また、『新華網』によると今年8月、杭州電子科技大学などの研究チームが、3Dプリンタによって腎臓や肝細胞をプリントすることに成功したと発表。さらに研究が進めば、患者本人の細胞を利用し、肝臓や腎臓の移植用臓器を複製することが可能になるという。  一方では、3Dプリンタは庶民レベルにも浸透している。広州市の日系メーカー勤務・大倉翔平さん(仮名・39歳)は話す。 「3Dプリンタで自分のミニチュアフィギュアを作ってもらえるサービスが若いコの間で大流行している。6000円ほどと安くはありませんが、“自分大好き”な中国人女性には特に人気。僕もある女のコから、自身のフィギュアをプレゼントされたことがあり、処分に困っています(苦笑)」  3Dプリンタを利用した一般向けビジネスが活況を呈している背景には、中国産プリンタの安さがある。ショッピングサイト「淘宝」には家庭用3Dプリンタが4万円ほどで多数、出品されている。仏山市の貿易業・林田岳男さん(仮名・49歳)の身近にも、家庭用3Dプリンタを購入した人物がいる。 「彼が購入したのは20万円ほどのモデルだったのですが、フィギュアも精巧に作れるほどの高性能モデル。実は彼、そのプリンタでガンダムやドラえもんなどの日本アニメのフィギュアを作製し、ネットで売って生計を立てている。購入から3か月で、プリンタの代金は回収したそうです……」  中国で3Dプリンタの普及が進めば、世界中の知的財産がますます脅かされそうだが、中国で模倣品調査を行うアライジェンス代表・太田基寛氏はこう話す。 「3Dプリンタは現状、コストとスピードの面で大量生産に向いておらず、現時点では模倣品を増加させる大きな原因にはならない。しかし数年後、家庭にも浸透し、一家に一台という時代になれば、キャラクターグッズや生活雑貨の3Dデータがネット上に流出し、模倣品が家庭で作られるようになってしまうでしょうね」  世紀の発明を模倣品作製に悪用するとは、3Dプリンタは中国人のために発明されたようなもの!? <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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