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サイバーエージェントが育成ゲーム終了を異例の撤回。「ペットロス」の声を受け

ブーシュカ

ブーシュカは、ブタの「ブー」とロシアの民芸品「マトリョーシカ」を組み合わせた造語

 1月24日にサービス終了が発表されたペット育成ゲーム『ブーシュカ』が、ユーザーからの多数の声をうけて終了宣言を撤回、継続されることが2月6日明らかになった。終了発表後は、公式ブログや12万人超が参加するブーシュカの公式グルっぽ(コミュニティサービス)をはじめ、SNS上でも存続を望む声が多数あがり話題となっていた。運営会社のサイバーエージェントによると、過去に終了を発表した後、継続に方針転換をしたことは同社初だという。

 終了を決定した理由は、同社担当者によると「フィーチャーフォンから始まった同サービスはスマホ版への移行率が低く、利用者も減っていたため終了を決定した」(同)というが、「ペットサービスという特性上、別れを悲しむ声も多く、問い合わせ件数も過去に例がないほど」(同)という反響をうけて、継続が決定されたそうだ。

 継続を願うユーザーからは、「こんなに愛し・愛されてるのに…」、「女児に恵まれなかったから、せめてブーシュカの中では、女の子を育てたい!」、「住宅事情でペットを飼えない私にとってブーシュカは大事なペット(家族)です!!!!!!」、「サービスとはいえ、みんなのペットを大量虐殺する行為」といった、本物のペットのようにブーシュカを愛する声があがっていた(公式ブログコメントより)。なかには、同社へ強い語調で憎しみをぶつけるコメントもあったという。

 その後、継続が発表されると「只今、運転中ですが…涙が止まらず…車を止めてます」、「嬉しくて嬉しくて涙が止まりませんm(__)m」と喜びの声が、継続を望む声以上に多数投稿されていた(公式ブログコメントより)。

 担当者はこれらの反応をみて、「こんなに愛されていたとは!と驚きました。選択と集中というビジネス的な観点での決定に、仕方がないと思っていましたが、継続発表後の喜びの声をみていると、これくらい愛されるサービスを今後も作っていきたいと思いました」とコメント。売り上げなど、今後の継続に課題は多いと思われるが、まずはユーザーからの反響を喜んでいる様子であった。

 丸くおさまったようにみえるが、ガラケーユーザーの多いブーシュカを継続させるという決定は、「スマホへの移行」という方針を掲げている同社にとって異例だといえる。担当者以外の同社社員はどう思っているのだろうか?

「ものすごく惜しまれながらも終了したサービスは沢山あります。社内では、売り上げがあっても伸びしろないと終了させちゃうような流れがあったので驚いています。スマホアプリも多数立ち上げているなかで、人手も足りないのでしょうがないとは思いますが……」(同社社員)

 「ユーザーから愛されるサービスを提供している」ということを実感した意味では、同社にとって採算以外の部分で得るものが大きかったのかもしれない。しかし、ウェブサービスは慈善事業ではない。継続を喜ぶ声のなかには、同社の「善意」を賞賛する声もあったが、ペットへの愛や“善意”だけではサービスは続かない。今回は継続となったが、運営会社とユーザーの対話のなかで、持続可能なペット育成サービスのビジネスモデルが構築されていくことを願う。 <取材・文/林健太>




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