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谷繁ドラゴンズ“地獄の沖縄キャンプ”リポート

谷繁監督

選手交代を告げる谷繁監督。ファンはその手腕を一日も早く見たいと願っている。

 落合GM-谷繁プレーイングマネージャー体制となり、古田敦也氏以来、実に6年ぶりの選手兼任監督が誕生した中日ドラゴンズ。その手腕には中日ファンだけでなく、球界全体が注目をしていると言っても過言ではない。では、気になる谷繁元信監督の手腕はいかがなものか? 現地、沖縄に飛んだ。

「落合さんの頃と一緒。地獄のキャンプが復活したよ」

 と語るのは名古屋の某新聞記者。6勤1休という落合監督の頃と同じ練習スケジュールを組み、練習量も増加しているという。筆者も昨年、一昨年とドラゴンズのキャンプは見たのだが、明らかに雰囲気が違う。ヘラヘラしている若手は皆無。白球を追いかける選手たちの姿はがむしゃらに、そしてひたむきに野球に取り組む高校球児を連想してしまうほど。

「べんちゃん(和田選手)なんか10kgも減量してキャンプインしてるしね。ベテランもかなりやる気になってるよ」

 実際、練習を見ているとかなりベテランの動きがよい。こうした背景にはやはり谷繁監督の存在が大きいという。

「監督といえども選手。だから練習もする。しかも練習が終わる16時過ぎに室内練習場に移動して居残り練習もするくらい。監督が練習やってんのに帰れますか、若手が」

 昨年、週刊SPA!では谷繁監督にインタビューを行っていたのだが、その際、監督は一人のベテラン選手として中日の若手に苦言を呈していた。

「野球に対する姿勢がね……」

 ぼそりとこぼした一言からは、野球ができるという恵まれた環境にいながらそれを活用しきれないでいる若手選手に対するやりきれない思いがあった。今は監督である。その思いを伝えることは監督の言葉であり、一挙手一投足だ。若手をうまく競争させ、ベテラン陣の奮起を促すことに成功したといえよう。

「バックアップしてくれる落合さんの存在もでかいと思う。谷繁元信監督誕生の立役者なわけだしね。キャンプイン当初は野球の虫がうずいたのか指導していたけど、今はじっと見守っている感じ。落合GMばかりに目が行きがちだけど、森コーチと二軍の佐伯監督の存在も大きい。森コーチはゴメスやエルナンデス、ルナといったドミニカンたちから絶大な支持を受けており、日本のお父さんのような存在になっている。面倒見がいいだけではなく、サボると平気で二軍に行かせてしまうから外国人枠の争いも熾烈になっている。そして佐伯監督。高木監督時代に入団した若手は今、読谷で血反吐を吐く思いで練習してるはずだよ」

 実際、読谷の二軍も取材したのだが、一軍とは違った張りつめた空気の中、黙々と選手たちは練習に打ち込んでいた。こうした姿をあるセリーグの球団OBは視察して舌を巻いた。

「高木さんの時と比べて明らかに質も量も増えている。シゲ(谷繁)はまだ選手兼任だし、高木さんの時にぐっちゃぐちゃになった戦力を整えるのに2年はかかると思う。でも、あの二軍の練習を見たら、今年よりも来年、来年よりも再来年に出てくる若手は脅威になると思う」

 どうやら、順調にタネは蒔かれているようだ。では、実際に今年はどうなっていくのだろうか? 在京スポーツ紙のデスクに聞いた。

「投手陣の台所事情は正直、厳しい。高校ビッグ3と言われながらも燻っている濱田ともう一人くらい一本立ちしてくれる投手がほしい。エース吉見の復活が6月と言われているので、それまでは辛抱の野球になるだろう。ただ、野手陣の打線がすこぶるよい。高橋周平なんかは一回りも体が大きくなり、下半身が安定したスウィングを体得しているし、右打ちを徹底的にものにしようとしている平田なんかも調子がいい。一発が出にくい球場だから、ホームランを量産とは言えないけど、1998年に優勝した横浜みたいなマシンガン打線も夢じゃないかもしれない」

谷繁監督

ヤクルトとの練習試合で大敗したものの「悪いとこがわかった」と動じない谷繁監督

 さらにデスクは続ける。

「セリーグは巨人が頭二つくらい抜けてて、広島は投手力が充実の一途で去年並のパフォーマンスはできるはず。残るは阪神、そして横浜、ヤクルトになるけど、ヤクルトはかなり厳しいんじゃないかな。1強1弱4中堅とでもいう形になりそう。いや、ヘタすると広島もグダグダで1強5弱にもなりかねない。そうなると中日のCS出場もまんざらない話ではない」

 肝心の采配はまだまだ練習試合を3試合こなしたのみなので、何とも言えない。だが、落合監督のような守り勝つ野球一辺倒ではないようだ。谷繁監督の監督としての手腕には、オープン戦を通して注目が集まっていくだろう。

<取材・文・撮影/SPA!プロ野球キャンプリポート班>

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