「スパイダーマンは殴るより説得するヒーローなんだ」アンドリュー・ガーフィールドインタビュー
『アベンジャーズ』でも、そろって活躍しているマーベルコミックス出身のヒーローたち。“スパイダーマン”も彼らと同じマーベルコミックスから生まれたヒーローだ。でも10代ということもあってか、どこか違った魅力を放っている。そんなスパイダーマンの映画版新シリーズ第2弾『アメイジング・スパイダーマン2』が公開中。今回、3体のヴィラン(敵)と対決するスパイダーマン(=ピーター・パーカー)を演じたアンドリュー・ガーフィールドにインタビューした。
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◆スパイダーマンはトリックスターなんだ
ほかのヒーローとは違う魅力があると述べたが、それはアンドリューの抜擢にも関係しているだろう。陰の雰囲気を持っていたサム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演のいわゆる旧スパイダーマンのヒットは、新シリーズに少なからず影響を与えていたはず。2作目に入った新スパイダーマンは明るさが印象的だ。
「1作目のときは、ある意味、ちょっとしたぎこちなさがあったのは事実だね。新しく物語を始めなければならなかったんだから。でも今回は、僕もピーターもスパイダーマンになることを楽しんでいた。特に物語の冒頭ではかなり楽しんでいるのが伝わると思うよ」
ピーターにも、そしてアンドリュー自身にも余裕が出てきた。随所でユーモアを見せるスパイダーマンを、アンドリューは“トリックスター(道化師)”的要素があると表現する。
「スパイダーマンは、あまり人を殴ることが好きじゃない。だから相手が悪いことをしないように、いろいろと話しかけて説得しようと試みる。トリックスターの特徴のひとつは、バッグス・バニーにも見られるように、敵を自滅させること。スパイダーマンにはそうした面があるんだ。
僕はチャーリー・チャップリンやバスター・キートンが大好きで、彼らを尊敬している。今回の作品は、フィジカル・コメディを探求するいいチャンスになったし、エキサイティングだったね」
あの誰もが真似したくなるに違いないスパイダー・スウィングに加えて、スパイダーマンのフィジカルな要素にも注目だ。
◆アメコミ界の帝王が「好きなようにやれ」
さて、マーベルコミックスの映画化というと、アメコミ界の帝王ともいうべき、原作のスタン・リー御大がカメオ出演するのが定番。本作でも第1弾に続いて、御大が登場する。かなり、はっきり、バッチリ出演。前作とは違ってセリフもあるぞ。
このスタン・リー、撮影現場にもちょくちょく足を運んでいたそう。アンドリューは何かアドバイスが欲しかったようなのだが……。
「まったくなかった(笑)。一切、口を出さないんだ。『君たちがやりたいようにすればいい。これは君たちの作品なんだから。僕の役割は、50数年前に(コミックを)書いて終わった。今度は君たちが君たちの役割を果たす番だろ』ってね」
アンドリューは本作でポストプロダクション(撮影終了後に行われる作業)にも参加した。
「スパイダーマンは僕が3歳の頃からのヒーローで、今では彼のことを熟知するまでになった。そのことをマーク・ウェブ監督やプロデューサー、編集者、脚本家らチームのみんなもよく知っていたので、撮影前から僕もいろいろアイデアを出した。
ポストプロダクションではストーリーテリングを学びながら、映画全体の構成について、キャラクターについて、ピーターの物語がどうあるべきか意見を言わせてもらったんだ。この役を演じられるだけでも素晴らしいことなのに、作る側にも携われるなんて最高だったね」
これまでデヴィット・フィンチャー、スパイク・ジョーンズ、マイク・ニコルズ、ロバート・レッドフォードといった錚々たる監督たちと仕事をしてきたアンドリュー。今度はマーティン・スコセッシと遠藤周作の『沈黙』に取り組むという。またシドニー・ルメット監督の「メイキング・ムービー」(キネマ旬報社)を読んで夢中になったといい、将来的には「プロデュース業や監督をやりたい」と断言した。
◆共演者で恋人のエマは「世界一の才能」
最後に、本シリーズのヒロイン、エマ・ストーンについても触れねばなるまい。前作で出会い、実生活でも熱愛中のふたり。アンドリューはエマとの再共演を次のように語った。
「とにかく最高だったよ! エマは世界一の才能を持った女優だからね。ものすごく快活だし、女優になるべくしてなった人だ。彼女と共演できることは、純粋に嬉しい。彼女と“芝居をする” (play)のは、本当に“遊びであり楽しみ” (play)だからね。芝居を“play”というのには理由があるってわけさ(笑)」
なんともお熱いことで。悔しいから(?)我々は、ヴィランとの戦いで熱く燃えるべし。 <取材・文/望月ふみ>
●『アメイジング・スパイダーマン2』は全国にて公開中
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
オフィシャルサイト http://www.amazing-spiderman.jp/site/ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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