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ラジコンヘリまで導入!中国の“ハイテク盗撮”

中国のネット上で晒された盗撮犯の犯行現場

中国のネット上で晒された盗撮犯の犯行現場。スマホの普及で一気に拡大した(中国版ツイッター・微博より)

「ミニにタコ」とは今や懐かしい迷言だが、同様の苦し紛れの言い訳が聞こえてきそうだ。昨今、中国で盗撮事件が相次いでいるのだ。 『鳳凰網』(6月16日付)によると、深セン市内の家具量販店イケアで、男性従業員が女性客のスカート内部を盗撮。被害者の夫が気づき、取り押さえた。犯人は常習的に盗撮を行っていたという。  また、『中金在線』(6月13日付)によると、上海市の婦人科病院で全身麻酔手術を受けていた女性の局部を、なんと執刀医と実習生がスマホのカメラで撮影していたことが明るみに出て、大問題に。 「公衆トイレの個室も、もはやプライベート空間でなくなりつつある」と話すのは、杭州市在住の留学生・安達美香子さん(仮名・25歳)だ。 「中国人の女性の間では、トイレや試着室を利用する際、隠しカメラがないか壁や天井をチェックするのは常識になっている。公衆トイレに行くというと、必ず誰かに忠告されます。面白いのは、顔を隠して入るという盗撮防止法。顔さえバレなければあとは見えてもいいという、大陸的なおおらかさなのでしょうか(苦笑)」  トイレ盗撮は、日本並みに深刻化している。『四川新聞網』(6月16日付)によると、成都市のオフィスビルで、女性トイレの個室内から小型のビデオカメラが発見されたことを受け、建物内の女性トイレ280か所以上を警察が一斉捜索する事態となった。  こうして撮影された盗撮動画の一部は、ネット上で公開されている。大連市在住の留学生・町田浩太さん(仮名・29歳)は話す。 「中国のアダルトサイトでは、今や盗撮モノは日本製AVと双璧を成すほどの人気カテゴリ。動画の投稿者には閲覧数に応じてコミッションが支払われるシステムなので、新作の投稿も後を絶たない」  北京市では6月10日、総勢18人から成る「プロ盗撮集団」が摘発された。彼らは小型カメラを服のボタンや杖などに仕込み、女性のスカート内部を盗撮。画像や動画をアダルトサイトに売り渡し、約10分の動画で約8300~1万6500円ほどになったという(新華社など)。  こうした“中国産盗撮モノ”を見たというのは、広東省東莞市のメーカー勤務・高島功夫さん(仮名・39歳)だ。 「撮影手法のハイテクぶりに驚きました。ビルの上層階にある女性の部屋を盗撮したものでしたが、窓越しに撮られていて、映像が小刻みに揺れている。おそらくラジコンヘリを飛ばして撮った映像だと思われます」  トラブル孫悟空の愛称でお馴染み、中国人ジャーナリストの周来友氏は、中国人男性の「総盗撮フェチ化」についてこう指摘する。 「これまでエロサイトのコンテンツといえば日本製AVばかりでしたが、最近は中国人モデルによる“国産モノ”を待望する声もある。しかしポルノ制作は終身刑になるリスクもあるし、コストもかかる。盗撮が一番手っ取り早いということなんでしょう。中国では、防犯目的の小型カメラが安価に売られているし、スマホのカメラも進歩している。かつてないほど盗撮は簡単になっているんです」  オリジナルコンテンツが誕生したのはいいが、それが盗撮とは……中国政府も頭が痛いようだ。 【自ら「モロ見せ」も流行中!】 盗撮の恐怖に怯える女性がいる一方、自ら「モロ見せ」をする女性も増えている。昨年5月、武漢市の地下鉄車内で、全裸で座席に腰を掛けおもむろにiPadを操作する中年女性が話題となった。また同月には厦門市で、路上ストリップを始める女性が目撃された。ネット上では、老若男女による全裸の露出画像がたびたびアップされているが、こうした中国人の「見せたがり」を前出の周来友氏は首を傾げながらも「服を脱ぐ行為は、飽食と同じく豊かになった証拠かも」と分析。日本では露出狂って言うんですけど……。 <取材・文/奥窪優木> 週刊SPA!連載 【中華人民毒報】 行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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