恋愛・結婚

犬山紙子「ナンパ師のメンタルの強さには感心しきり…」

【週刊SPA!連載 痛男!(イタメン)】
―『負け美女』のオトコ観察絵日記 犬山紙子 ―

◆ナンパ師のメンタルの強さに感心しきり……

ナンパ ただ今大阪行きの新幹線の中なのですが、トラブル発生とかで、新横浜でかれこれ1時間も足止めを食らっております。

 用事にはギリ間に合いそうですが、こういうふと空いた時間ってみなさんはどのように過ごしているのでしょうか? 犬山は何かしら仕事をして、「こんなふと空いた時間を無駄にしない私」に浸ることが多いです。よって今この原稿を書いているのですが、普段机に向かうより捗るから不思議なものです。何かに集中するときは案外自分に酔うって大事なのかもしれない……。

 さて、新幹線の中ということもあり、今回は電車で遭遇した痛男の話でも。あれは5年前の夏の夜、日本一痴漢が多いと悪名高い埼京線に乗っていたときのことです。椅子が空いていたのでラッキーと、仕事帰りであろうスーツ姿のおじさんの隣に座ったワタクシ。隣のおじさんはどう見ても普通なおじさんなので特に警戒することもなく漫画を読んでいたのですね。

 ところが、おじさんが妙に携帯をこっちにチラチラ向けてくる。最初は「変な動きをするオッサンやな~」くらいに思っていたのですが、明らかに意思を持って私に携帯を向けてるわけです。

 しかし、赤の他人の携帯を堂々と覗くのは気が引ける。無視をしていると、とうとうおじさんが携帯の画面をトントンと指で叩き出した。覚悟を決め、その携帯を見てみるとそこには「この後一緒に飲みに行きませんか?」の文字が……。

 電車で携帯を使ってナンパ!?とびっくりし、オッサンの顔を見るとにやけヅラ。その余裕ぶりは、この手口に慣れているに違いない。ひっかかってたまるかよとイラッとしたのでジェスチャーで断ったら、オッサンは素知らぬ顔でただの乗客にシュッと戻ったんですね。

 それにしてもよく考えたものです。電車の中であからさまに声をかけると、絶対周りからジロジロ見られますもんね。でも、携帯を見せる方法だと、さほど周りにはバレずにナンパできる。

 が、本当にしんどいのはこれから。ナンパを断った後です。私が降りる池袋まではまだまだ時間もあるし、オッサンも次の駅で降りるかと思いきや降りない。気まずいままずっと隣同士で座ってなきゃいけないんですよ……。

 さらに、車内は結構人が多く席を立つともう座れない。これは私ではなくオッサンが席を立つのがスジというもんだろうと、気まずさを抱えたままじっとしていたのですが、全然立つ気配もない。このおじさんには、恥ずかしいという概念はないのでしょうか。ナンパ断られた相手とずっと一緒に座っててもどこ吹く風です。

 とうとう耐えられなくなった私が席を立ち、違う車両に移動したのですが、すげー腑に落ちないんですよ。せっかく座れたのにオッサンのせいで立たなきゃいけないなんて……。オッサン、自由すぎるだろ!

 この件で思ったのはナンパする人はこれぐらいメンタル強くないとやってけないんだなってこと。そもそも知らない人に急に声をかける時点でシャイな日本人には相当ハードルが高いことですから。ハタ迷惑ではあったけど、そのメンタルの強さは気になる。ナンパについていって、勝率はどうなのか、あの方法をどうやって思いついたのか、どういう女を狙うのかなどを取材しときゃよかったと、今さらちょっと後悔しているのでした……。

犬山紙子

犬山紙子

【犬山紙子】
エッセイスト。単行本デビュー作『負け美女』(マガジンハウス)で注目を浴びる。『高学歴男はなぜモテないのか』(扶桑社新書)が好評発売中。TBS『内村とザワつく夜』にレギュラー出演するなど、テレビでも活躍中

※「痛男!」は週刊SPA!にて好評連載中

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