誘拐犯に間違えられた夫が傷ついている時にできること/犬山紙子
突き詰めれば“他人同士”である夫婦が、いかに円満に暮らしていくか――。
そんな男女の永遠のテーマに迫るのが、コラムニスト・犬山紙子さんによる「週刊SPA!」での連載企画「他人円満」だ。9/3号では、夫であるミュージシャン兼漫画家・劔樹人さんが娘と一緒に乗っていた新幹線内で誘拐犯だと勘違いされるという大きな波紋を呼んだ騒動について言及。傷ついた夫に、妻ができることとは……?
娘をあやしていたら夫が誘拐犯だと思われ通報される、というそこそこハードな事件が起こりました。
夫の実家の長野から、新幹線で2歳半のイヤイヤ期の娘と夫の二人が帰ってきた時の話です。その間、私は家で育児から解放されのびのびとさせてもらっていたのですが(この時点で夫最高)、娘はお盆で混み合う新幹線の中でイヤイヤを発動。それを夫がデッキで懸命にあやしていたら(夫のあやし方はこれ以上ないくらいに素晴らしいのですが、イヤイヤ期というのは理不尽なもので泣きやまない時もそこそこある)「誘拐犯かもしれない」と通報され、上野駅で警察がゾロゾロとやってきて夫を取り調べしたのでした。
娘の保険証や私への電話、それと携帯に娘と撮った写真がたくさん入っていたのですぐ解放されたのですが、夫も私も通報した人に「通報しやがって」という気持ちはなく、「子どもを守ろうと通報したのだからそれは正しいよね」という認識です。警察も子どもを守るために仕事をしているわけですし。誰も悪くない。……いや、新幹線内で「うるさい」って夫に怒鳴ったおじさん(いたんです)は悪いと思います。「うるさい」と思うのは自由だけど、その伝え方が「怒鳴る」というのは違う。怒鳴るというコミュニケーションは暴力性がありますからね。
そして、私が娘をあやしていたならきっと通報はされなかったと思います。警察もしきりに「母親はいない」って強調していたようだし。男性が幼児と二人で新幹線に乗っている光景がまだまだ珍しいということもあったんだろうと思います。
今、夫は「別につらくない」という感じで私に話しますが、やはり娘が外でイヤイヤを発動するとかなりグッタリするようになっています。「なんでこんなに疲れるんだろう」と日中寝込んでしまう。人間ですから、堪えないわけないんですね。
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