更新日:2017年10月16日 20:46
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『妖怪ウォッチ』ブームの影で抱えた焦燥感…アニメ主題歌でブレイク、重本ことりのその後

 重本ことりの初の自叙伝『黒い小鳥』(鉄人社・刊)が発売された。  と言っても、彼女の名を知る人はけっして多くないかもしれない。しかし、彼女がリーダーを務めていた5人組ボーカル&ダンスユニット・Dream5の人気アニメ『妖怪ウォッチ』のエンディングテーマ曲『ようかい体操第一』を、まったく聴いたことがないという人はおそらく少数派だろう。
 Dream5は社会現象にもなった『妖怪ウォッチ』の人気を追い風に、2014年に『ようかい体操第一』『ダン・ダン ドゥビ・ズバー!』『ようかい体操第二』がヒット。同年には紅白出場も果たしている。  しかし2016年春のメンバーの脱退を機にグループとしての活動が見られなくなり解散。リーダーだった重本ことりも所属事務所だったエイベックスとの専属契約を昨年12月に終了していた。  今回発売された『黒いことり』ではそんな重本ことりが、幼少期の頃からの両親との関係や、Dream5で活躍していた時の心情などを赤裸々に告白。その半生とジバニャン人気の影で抱えていた孤独が素直な言葉で綴られている。  10月11日に福家書店新宿サブナード店で開催された出版記念イベントで彼女は、『妖怪ウォッチ』の楽曲について、「当時はやっぱり素直に喜べない部分もあったけど、『妖怪ウォッチ』のおかげで知ってくれた人も増えたのでそういう面では単純にとてもありがたかったし、やれてよかったなって思っています。どうやったらこれからアーティストとして自分のことをもっともっと知ってもらえるか、難しさを感じています」と語った。  『妖怪ウォッチ』に限らず、アニメが人気となり例えそのテーマ曲が多くの人に知られるアニソンとなったとしても、そのアーティスト自身に世間の注目が集まるケースはそれほど多くない。そのため声優の歌うキャラソンなどならともかく、ほぼ無名の音楽アーティストたちにとってアニメとのコラボは大きなチャンスであると同時に、どうしたって“一発屋”になってしまいがちな危険性を孕んでいる。  ひょっとするとアニメで曲が知られる前よりも、アニソンがブレイクした後の活動のほうが、音楽アーティストとして抱える苦悩は大きいという面もあるかもしれない。  同書は芸能界の舞台裏を垣間見る暴露本として好奇心をくすぐられる一冊だが、一人の人間・アーティストとしての重本ことりの生々しい心情や苦悩が吐露されており、共感する人も少なくないだろう。  本書が発売された10月5日には、初のソロシングル「ReBirth」もリリース。こちらはフジテレビ系列のバラエティ番組「全力!脱力タイムズ」のエンディングテーマに決まっている。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
黒いことり

人気絶頂時に感じるアイドルの苦悩と暴露

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