「俺、クール」を演出する男の痛々しさ【犬山紙子の痛男レポート】
【週刊SPA!連載 痛男!(イタメン)】
―『負け美女』のオトコ観察絵日記 犬山紙子 ―
◆結婚式のスニーカー男に目がくぎづけ!
結婚いたしました! そして、身内のみの結婚式もやったのですが、前回(※週刊SPA!8/12・19合併号掲載)のお葬式同様、ダメです。かしこまった場というのは、何故にこうも笑いがこみ上げてくるのでしょう。自分の結婚式なのに、神父さんがなんか祈りを唱えてる間にふき出すのを堪えるのがやっとなんですよ。だって、英語だから何言ってるかわかんないのにみんな神妙な顔して聞いてるんですよ。後ろからすすり泣きも聞こえてくるし。笑うなっていうほうが無理ですよ。しかも賛美歌を歌うじゃないですか、そのときも、みんな大概知らないくせに、それっぽく歌うわけですよ。冷静になればなるほど笑いを堪えるのがヤバかったので途中から心を無にしたのでした……。
しかし、痛男のレポートは続きます! 痛男観察に既婚も未婚もヘッタクレもないですからね。今後も痛男のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
そんなわけで、今回は結婚式でのエピソードを(他人の、ですが)。新婦の友人として女友達とともに犬山は参加。私たちの席は新郎友人と同じテーブルです。その中にスニーカーを履いた男がいたんですね。
「アレ?」と思うも、別に他人だからいいや……とスルーできるなら、こんな連載していないわけで。チラチラ見ていると、トータルコーディネートはこじゃれたジャケットにこじゃれたネクタイにスニーカーというスタイル。たぶん「オシャレのハズシ」でスニーカーをチョイスしたものと思われます。でも、披露宴にハズシは必要ない。主役なんか関係ない、とにかく自分を見てほしい、その自己顕示欲よ!
そして、披露宴は進行していったのですが、このスニーカー男、ニヤニヤしながら新郎の親戚のハゲてるおじさんの頭を写真に撮りはじめたではありませんか。で、ククッとニヒルに笑っては隣の男に見せる。その顔には書いてあるわけです。「披露宴で新郎新婦を撮らずに、ハゲ頭を撮ってる俺、クール」って。
だって考えてくださいよ。おじさんのハゲ頭なんか撮ったところで、後から見返さないじゃないですか。それをわざわざ撮るのは、撮りたいんじゃなくて、ハゲを撮ってる自分を見せたいだけなんですよ。新郎新婦の写真なら、後で本人たちに送るという立派な用途がありますからね。う―――――ん、この時点で相当痛いぞ!
そして披露宴は余興の時間に突入。新郎の男友達で何やら踊るらしく、スニーカー男は「えー、マジで踊るの?」と一度ゴネた後、ちょっとタルそうに踊る。余興に対しては、彼の自己顕示欲は発動しない模様。たぶん踊りが苦手なんでしょう。
ここまでくると、私も肝心の新郎新婦よりスニーカー男のことばかり見てることに気がついた。ダメだ、これじゃあスニーカー男の自己顕示欲にからめとられている状態だ!
癪に障るので、そこからは新婦ばかり見るようにしていたんですが……隣から聞こえてくるんですよ、スニーカー男の話し声が。しかも、その内容が「俺なんか結婚式にスニーカー履いてくるような男だからさ、結婚なんか無理ですわ(笑)」ですよ。誰もスニーカーに突っ込まないから自分で言っちゃったよ! 型どおりにハマれない俺をわかりやすくアピールしちゃったよ! 感動の披露宴のはずなのに、ふき出してしまいました……。
やっぱり、人の晴れ舞台は脇役に徹する美学が必要ですよね。犬山も自己顕示欲が強いほうなので今後気をつけようっと……。
【犬山紙子】
エッセイスト。単行本デビュー作『負け美女』(マガジンハウス)で注目を浴びる。『高学歴男はなぜモテないのか』(扶桑社新書)が好評発売中。TBS『内村とザワつく夜』にレギュラー出演するなど、テレビでも活躍中
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