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薬が効かない結核が存在する!?「多剤耐性結核」の恐怖

エボラ出血熱やデング熱のニュースで感染症への危機感が高まる昨今。実はわれわれ日本人の身近なところにも、多くの感染症が存在する!!

◆化学療法が不可能な例も!? “薬が効かない”結核<多剤耐性結核>

結核菌の標準的な抗結核薬

結核菌の標準的な抗結核薬、リファンピシン(写真右)とイソニアジド(同左)

 世界人口の3分の1が感染、“世界最大の感染症”と言われる「結核」。かつて“不治の病”と言われたこの病気も、抗結核薬の開発により日本での治癒率は80%以上で、死亡者のほとんどは高齢者。ところが、抗結核薬の効かない結核菌が存在するのだという。国立国際医療研究センターの高崎仁医師はこう語る。

「現在、結核の標準的な治療には、3~4種類の抗結核薬が使われています。そのなかで最も強い効果をもつイソニアジド、リファンピシンの両方に耐性を持つ結核菌があるのです。これを『多剤耐性結核』と言います。これを治療するには、フルオロキノロンや注射薬などを含めて5種類以上の薬が必要。治療はより困難で、治療期間は通常の結核の6~9か月に対し、多剤耐性結核は約2年を要します」

 この多剤耐性結核では、患部切除などの外科的治療をした例を含めて治癒率は50%程度になってしまうという。さらに、それ以上に強力な耐性菌も存在する。

「『超多剤耐性結核菌』と言って、フルオロキノロンや注射薬なども効かない病原菌があるのです。化学療法は事実上不可能で、治癒率は30%程度まで下がります」

 こうした強力な耐性を持った菌には、どのような経路で感染するのだろうか?

「現在、多剤耐性結核は中国、インド、ロシアなどで多く見られ、日本は結核患者のうち0.5%程度が多剤耐性と言われています。初めから多剤耐性菌に感染することは稀で、不適切な治療を受けたり途中で治療を中断したりして、体内で生き残った菌が遺伝子変異を起こして耐性化するケースが最も多い。また、最近は外国人保菌者の流入によるものも目立ちます」

 多剤耐性結核の発病を防ぐためにはどうすればよいのだろうか?

「幸いにも今の日本で多剤性結核菌に感染することは少ないですが、もし結核にかかった場合は、症状が軽いうちに早期発見すること、専門医の診察を受けて徹底的に治療を完遂することです。とにかく、早い段階で耐性菌増殖の芽を摘むことが必要なのです」

<多剤耐性結核>
●日本人患者数/47人(’13年)
●感染経路/空気感染
●致死率/50%程度
※超多剤耐性含む

― エボラ熱より危険な[日本の感染症]【2】 ―

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