結核の隔離病棟は設備充実で意外と快適【結核闘病記vol.2】
―[結核闘病記]―
現在も世界人口の3人に1人が感染、年約380万人が発病しているという“世界最大の感染症”、結核。日本でも年間約2万人が新規患者となり、約2000人が死亡している。治療法が確立し、かつてのような“不治の病”ではなくなったものの、決して過去の病気とは言えないのだ。そんな結核にSPA!編集部員・北村土龍も感染⇒発病。ある日突然大量に喀血して、「隔離病棟」へと入院したのだった――。これはその闘病の日々の記録である。
⇒【vol.1】「突然大量の喀血!“世界最大の感染症”結核に感染した…」https://nikkan-spa.jp/758640
◆「薄暗い隔離病棟」のイメージだったが……
私が入院したK病院の5階に結核病棟はあった。病床数は40。「隔離入院」のイメージから、当初は薄暗くて息苦しい病棟を想像していたが、まったく逆だった。非常に清潔で、窓が大きくて明るいのだ。特に私のベッドは南向きの窓側で景色がよく、非常に気持ちがいい。
入院しているのは高齢者ばかりかと思ったら、意外と20~30代くらいの若者が多い。名前を見ると外国人も数人いるようだ。看護師さんに聞くと「土地柄か、ほかの結核病棟よりも若い患者さんが多いようです。最近はアジアから来日した患者さんも増えてきています」とのこと。私は4人部屋。同室には韓国人留学生が1人いた。
部屋はトイレ、洗面所つき。各々カーテンで仕切られ、独立性の高い空間になっている。部屋には液晶テレビ、冷蔵庫、クローゼット、個人用のライトがあり、貴重品を入れる鍵つきの引き出しも。有線LANでインターネットも使える。ノートパソコンとスキャナ&プリンタを持ち込むことができたので、ここなら最低限の仕事はできそうだ。個人用の冷蔵庫とテレビがあるのも嬉しい。
これらの設備は有料で、冷蔵庫は1日200円、LANは1日300円。テレビは40秒につき1円(1時間で90円)。これらは1000円で病院内の共通カードを買い(チャージ500円+デポジット500円)、デイルームにある機械で1000円札をチャージして使う。
デイルームにある飲料の自動販売機や、コインランドリー(洗濯機200円、乾燥機30分100円)でもこのカードが使える。いろいろと使っていると、すぐに手持ちの1000円札が足りなくなってしまう。ところがお金をおろそうとしても、2階にあるATMまで行くことはできない。面会客に自分の銀行カードを渡して頼むしかないのだ。
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◆出張売店で食料品・生活必需品を入手
シャワー室は無料で2つあり、非常に清潔。6~21時に使用できる。湯船はなし。ナースステーションの前のロビーには雑誌が置いてあり(SPA!もありました)、入院生活で衰えがちな足の筋力を鍛えるためのエアロバイク(無料)が2台設置されている。
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携帯電話は部屋では原則使用不可。公衆電話の置かれた「電話室」で電話することになる。もっとも1つしかない電話室は誰かに占領されていることが多く、デイルームや廊下で携帯電話を使わざるをえない。
ありそうでなかったものは給湯器。ホットのお茶やコーヒーを飲もうと思ったら、個人で電気ポットを用意する必要がある。
病院内の売店には買いに行けないが、売店が出張販売に来てくれる(平日の15~16時ごろ)。この時しかモノを買うことはできないので、時間を忘れないようにしなければならない。店頭にある商品はパンや菓子類、飲料が中心。店頭にないものを買いたい場合は、当日朝11時までに注文書に書いてポストに入れておく。タオルや歯ブラシ、下着、洗剤、ティッシュなどひと通りの生活用品はここで買える。ゆうパックを出すこともできる。
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と、こんな感じでヘタなビジネスホテルよりも快適かもしれない。ただ一点、この限られた空間から一歩も出られないという点を除いては……。
<文/北村土龍>
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