居酒屋アルバイト「時給より、まかないの味が重要」――職業別“一大事”の基準
生と死、政治とカネの必要悪、働く意義、恋愛で大切なこと……答えが出ないからこそ時として議論になる巷の命題について、20~40代の働く男女に聞き、さまざまな立場が生み出す感覚のギャップから考えてみた
【職業別】「大問題」「大した問題じゃない」を調べてみた!
人それぞれに大問題か否かの境界があるように、職業や職種ごとにもその「一大事」は異なる。
例えば、昨今、ブラック企業の代名詞のように言われる飲食業界。「時給はどこも変わらないから大した問題ではない。それよりまかないの味が重要」(居酒屋アルバイト)と、意外に呑気なご様子で。
お客さんに対しては、「ドリンクバーだけで長時間、粘るのはいい。それよりも、混雑時の追加注文が迷惑」(ファミレス)だとか、
「肉より野菜をたくさん食べられることのほうがイタい」(食べ放題焼き肉店)とか、店にとっての“問題客”は意外なものだった。
客に対しては、「怒鳴られるより不快なのは、大半の人が再起動もせず、電話をかけてくること」(パソコンコールセンター)。
「安いときに大量レンタルされるのは別にいいんだけど、延滞してくれないと売り上げが伸びないので困る」(DVDレンタル店)
「アマゾンレビューの、☆ひとつや悪口は無問題。むしろ、反応がないほうがつらい……」(作家)
「荷物が多いとか、エスカレーターのない5階とかは大したことではなく、我々の一大事は奥さんが美人かどうか」(引っ越し業者)
「毛がないこと自体ではなくて、毛がないという自覚のないお客さんがいちばん厄介」(美容師)
「刺青のヤクザは大したもんではない。それより金のネックレスをつけた客! 18金ならいいけど、純度の低いのは入浴剤で変色して、ビミョーな空気になる」(ソープ嬢)などなど。業界ごとさまざま。
また、その職業によって、大事な適性や能力もいろいろなようで。
例えば、語学堪能でなければ務まらなそうな海外駐在は、「語学力はなんとかなる。それよりもワインや音楽に詳しいとか、ゴルフがうまいとかが大事」(メーカー)と、語学力よりも教養という高いハードルが必要とか。
他にも、「営業力よりも、メンタル&体力」(外資系保険会社)だとか、「専門性なんて二の次。むしろどんな環境にも適応できる新人が欲しい」(IT)といった話もあって。就職や転職の際、大事だとされる「即戦力」「資格」は、言われるほどではないのかも。
イラスト/花小金井正幸
― 「大した問題か否か」は人によってこんなに違った!【3】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ