山本昌「プロ32年目で初のホームランを狙います」
―[「ジョージア魂」賞2014]―
11月27日、都内で2014年度「ジョージア魂賞」年間大賞授賞式が開かれた。大賞を受賞したのは週刊SPA!でも表紙を飾った大谷翔平選手(日本ハムファイターズ)。そして特別賞を受賞したのは今季限りで日本ハムファイターズを引退した稲葉篤紀氏と、試合に出るたびに日本記録を更新する球界の生ける伝説こと山本昌選手(中日ドラゴンズ)だ。
今回SPA!は受賞会場で山本昌選手の単独インタビューに成功。ジョージア魂賞特別賞受賞の喜び、そして来季へかける思いを聞いた。
――ジョージア魂賞受賞おめでとうございます。ジョージア魂賞受賞は見る者を勇気づけたプレーに対して贈られる賞です。今回、山本昌さんは9月5日の対阪神タイガース戦で勝利投手になり、「64年ぶりに更新した最年長勝利」が受賞プレーになりました。
山本昌「僕のピッチングで元気づけられたって人がたくさんいるって、すごくうれしいことですよ。投票していただいた方々のためにも、『こんなおじいちゃんでも、18、19のコとバンバンやりあってくぜ!』っていう姿をドンドン発信してきたいですね」
――トークショーでは松本哲也選手(読売ジャイアンツ)の「ホームランを打ちたい」という発言に、「俺なんか31年も打ってないんだぞ!」と言って、笑いを誘いました。
山本昌「フェンス直撃弾は2本打ったことがあるんですけどねぇ(笑)。広島市民球場とナゴヤ球場、どっちも狭いところですね」
――では、神宮球場なんかは狙い目では?
山本昌「神宮もそうだけど、横浜スタジアムだね。あとは東京ドームあたりが狙い目ですかね。ヒットは140本以上打ってますし、実は打率はあんまり悪くないんですよ。でも、試合ではなかなかホームランはね。フルスイングしても当たらない当たらない(苦笑)」
――昌さんは逆方向に打つのが得意な印象がありますが、バッティングにこだわりはありますか?
山本昌「バッターボックスに立ったら少しでも相手ピッチャーに投げさせるためにツーストライクまで振らないとか、そういう意識はしてますね。しっかり見る。だから流し打ちになるのかな。ただ、バントだけはしっかりできるように練習していますね。昔は柵越えもバンバンしてたんですけど、さすがに最近はね(笑)。でも、初ホームランがプロ入り32年目なんていったらスゴいことですよね」
――ぜひ、来年は「プロ入り32年目での初ホームラン」、そして「50代からの二刀流」でジョージア魂賞を狙っていただきたいです。
山本昌「いやいや、そんなことはもうできないですけど(笑)。現役生活もあと少しでしょうから、最後まで悔いがないようにやってきたいなと思います」
――50歳になっても頑張り続ける昌さんには感銘を受ける読者も多いと思いますが、働き盛りの30~40代へのメッセージをお願いします。
山本昌「毎日調子のいい人もいれば、辛い人もいるでしょうし、いろいろな方がいると思います。僕も『昌スゴいな』と言っていただけますが、身体が動かなかったり、痛みを我慢してやってる時期もありますよ。ただ、みんな苦しいなかで頑張っていますし、そのなかでやってくしかないんだと思います。やっぱり生きてくうえでは諦めるわけにはいかないですし、自分の仕事をやるしかないですからね」
――長いシーズンではモチベーションを保つだけでも大変だと思います。
山本昌「辛いことがあってもどうせやらなきゃいけないですから。僕も嫌なことはいっぱいありますが、マウンドに立って皆さんの声援を受けて勝ったときの気持ちって、本当に格別なんですよ。辛い練習や不調の時期を乗り越えたから、この喜びがあるって。みなさんにも『辛いものの先にはうれしいことがある。そこを越えたら楽になる』と思ってがんばってもらいたいです。僕ら世代で日本を引っ張っていくというぐらいの気持ちで頑張りましょう」
――ちなみにジョージアと言うと缶コーヒーです。先ほどのトークショーでは司会の渡部建さん(アンジャッシュ)からの「コーヒーはブラック派? 微糖派?」の質問に手を挙げられませんでした。コーヒーはあまり飲まないんでしょうか?
山本昌「飲みますよ。おれ、カフェオレ派なんだ(笑)」
2015年も山本昌選手の一挙手一投足からは目が離せない。
取材・文・撮影/長谷川大祐(本誌)日刊SPA!編集。SPA!本誌では谷繁元信氏が中日ドラゴンズ監督時代に連載した『俺の職場に天才はいらない』、サッカー小野伸二氏の連載『小野伸二40歳「好きなことで生きてきた~信念のつくり方~』、大谷翔平選手初の書籍となった『大谷翔平二刀流 その軌跡と挑戦』など数多くのスポーツ選手の取材や記事を担当。他にもグルメ、公営競技の記事を取材、担当している
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