放射能除染騒動につけ込んだ怪しいビジネスが横行
環境省の試算によれば除染が必要な土壌は東京ドーム約23杯分と、汚染された国土の再生は容易ではない。それに伴い、除染をめぐる動きが活発化している。「ひまわりの除染効果なし」に戸惑い、次の一手を模索する現場から非科学的な方法まで。放射能除染の最前線を追った!
◆枯れるひまわり……除染効果に翻弄される放射能汚染現場の今
種植えのときは、笑顔で『刈り入れ時期にまた会いましょう!』と言って別れたボランティアの人たちと連絡が取れないんです」
福島県内でひまわりの種を植えるプロジェクトを運営していたNPO関係者は、肩を落とす。
汚染された土壌の放射性セシウムを吸収する植物として、注目を浴びたひまわり。だが、9月15日に農水省は「ひまわりによる除染効果は低い」という調査結果を発表した。そのため、被災地に植えられたひまわり畑の中には刈り取られることなく、“希望の花”から“雑草”になってしまったものも多い。
◆除染騒動につけ込んだ怪しいビジネスも横行
とはいえ、農水省の発表に反論する声もある。植物の除染効果を研究している民間稲作研究所の稲葉光國氏は、こう話す。
「独自にひまわりの収穫時期や場所を変えて調査したところ、農水省が発表した吸収率の10倍の数値が出ました。ほかにも、菜の花や大豆などセシウムを吸収する可能性を持った植物はまだあります。一つの結果にこだわらず、さまざまな実験結果を鑑みて判断していくべきでしょう」
除染は急務の課題だが、成功例がないために現場は混乱。なかには、この騒動につけ込んだ怪しい除染ビジネスも横行している。
「『何でも除染します』を売り文句に活動する団体が、ただのビルメンテナンス業者で、科学的根拠のない薬品を売りつけるなんてケースも増加。また、ひまわりを植えているNPO法人の中には除染ではなく、助成金が狙いだったりするケースも。ひまわりの油から作られるバイオ燃料事業を奨励する自治体から助成金を得ようとしています」(前出のNPO関係者)
未曽有の放射能汚染ゆえに、玉石混交。“効果あり”と謳われる除染方法は、後を絶たない。
― 放射能除染をめぐる(狂)都市伝説徹底ルポ【1】 ―
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