更新日:2015年09月02日 18:11
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キノコに除染効果アリ!? ただし問題が…

環境省の試算によれば除染が必要な土壌は東京ドーム約23杯分と、汚染された国土の再生は容易ではない。それに伴い、除染をめぐる動きが活発化している。「ひまわりの除染効果なし」に戸惑い、次の一手を模索する現場から非科学的な方法まで。放射能除染の最前線を追った! 【キノコ】 ◆検出された高濃度の放射性物質が、除染効果を立証!?
チチタケ

福島県棚倉町のチチタケから基準値の56倍となる2万8000ベクレルもの放射性物質が検出。そのため、野生キノコの出荷停止が指示された

 福島県の一部地域で出荷停止や摂取制限が指示されている野生キノコ。だが、森林汚染への不安が広がる一方で、高濃度の放射性物質が検出され、キノコの除染効果に注目が集まっている。 「ウクライナでは5マイクロシーベルトの土壌で育ったキノコから11万6000ベクレル/kgが検出されたデータもある。ホットスポットになりやすい森林の吹き溜まりや凹地を好む腐生性のキノコではなく、今回検出されたチチタケなどは樹木の根と共生する菌根性。こうしたキノコに著しい蓄積が見られる点から、菌類には特異的に放射性物質を吸収、濃縮する能力があるとみられます」(科学技術ジャーナリスト・那野比古氏)  この吸収力を期待してか、キノコの種菌販売業者には「キノコを育てたい」との問い合わせが増えているというのだ。 「事故後から(種菌を植えた)原木の売り上げが伸びました。また『屋内や庭の芝生、砂地で育てられる種類はないか』『チチタケはないか』という問い合わせが増えましたね。ほかに『木造の床下に植えて育つ種類はないか』なんて人もいて、土台が腐りますって教えておきました」(販売業者)
キノコ栽培

福島県棚倉町のチチタケから基準値の56倍となる2万8000ベクレルもの放射性物質が検出。そのため、野生キノコの出荷停止が指示された

 確かに除染効果はあるかもしれないが、キノコにはひとつ問題が。 「菌類は、季節や生育環境が非常に限定される。菌類による除染は汚染土壌を集めて行うのが原則。自宅の庭で栽培というのはナンセンスですね」(那野氏)  除染効果を発揮する前に、栽培が困難ということか。 ― 放射能除染をめぐる(狂)都市伝説徹底ルポ【3】 ―
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