竹書房の当選者数水増し報道に「とんだとばっちり」と現場社員の声
漫画雑誌、写真集などを発行する出版社の竹書房が読者懸賞の当選者数を水増ししていたとして、消費者庁は13日、同社に対して景品表示法違反(有利誤認)で再発防止を求める措置命令を出していたことが報じられた。
「株式会社竹書房に対する景品表示法に基づく措置命令について」に記載されている内容によれば、例えば『まんがくらぶ2012年9月号』にあって、下記のように記載された当選者数を下回る数の景品類の提供を行っていた。
・iPodShuffle+iTunesカード3000円分 記載された当選者数(3名)→実際の当選者(1名)
・超音波美顔器 記載された当選者数(3名)→実際の当選者(1名)
・保温弁当箱 記載された当選者数(5名)→実際の当選者(1名)
・ジェット歯間ブラシ(3名)→実際の当選者(1名)
同誌2013年7月号においては、「PS Vita」(記載3名→当選者0名)、「PS3」(記載3名→当選者0名)など、そもそも景品自体が用意されていないケースもある。1368人に当たるとしていたが、実際には327人しか当選していなく、架空の名前を「当選者発表」として誌面に掲載していた。報道に対するコメントを見てみても、「適当に写真だけ引っ張れば、プレゼントページなんて作り放題じゃないか!」などと怒りの声も上がっている。今回の経緯について、現場社員を直撃した。
「秋田書店へ同様の措置命令が出された直後、昨年9月頃に消費者庁から抜き打ちの調査があったんです。なぜ、ウチにピンポイントで調査に入ったか経緯は不明ですが、例えば『エンタメ文学新人賞を創設 大賞50万円』などと募集を呼びかけて、『14年6月には選考結果を発表』などと言ったきり、今に至るまでなしのつぶて状態。そういう態度に、読者から消費者庁に告発が入ったんじゃないかと噂されています。調査が入ってから、会社側もいろいろと対応に駆けずり回ったそうですが、数字は正直ですからね。結局、対応しきれなくなって、このタイミングでの報道に繋がったとみています」(社員編集者・32歳)
現在、会社には厳戒態勢が敷かれている。全社員に電話対応のマニュアルも配られているという。
「全社的に制作費は抑えられていて、特にプレゼントの予算は大きく削られています。もちろん、アンケート結果は重要なデータですから、うその表示をしてまで回収率を上げたい気持ちもわかります。ただ、そのなかでも、僕の部署で担当している雑誌はちゃんとプレゼントを送っているのに、とんだとばっちりですよ。どうしても世間的には『竹書房の雑誌は賞品を送らない』って思われますからね。そもそも、今回のことで、会社が対応にかけた予算も少なくないはず。緊縮財政でろくに経費も出ないし、取材費なんかウン十万円単位で自腹切ってるんですから、本当に勘弁してほしい。同僚と『4コマ編集部で辞める人間いるから、ぜんぶその男がしたことにすればいい』なんて与太話まで出ている始末です」(同)
多くの出版社は雑誌ごとに独立採算制のような形を取っているため、まともに賞品を発送しているのに疑惑の目で見られるのであれば、社内での諍いが起こるのも仕方ないかもしれない。が、「俺は悪くない、あいつが悪い」と足の引っ張り合いをする前に、読者の信頼を回復することが先決であろう。
竹書房は公式HP上で「平成25年9月より誌面上で実施した懸賞企画においてはそれぞれの景品類について誌面上に記載された当選者数と同数の景品類を提供するとともに、徹底した社内調査を実施し、再発防止に努めております」と回答している。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
対象となったのは、同社発行の漫画雑誌『まんがライフ』、『まんがくらぶ』、『まんがライフオリジナル』、『まんがくらぶオリジナル』、『本当にあったゆかいな話』、『本当にあったゆかいな話 芸能ズキュン!』、『まんがライフMOMO』の7誌。消費者庁のホームページ
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