部下から“モンスター”扱いされる上司たち
―[[嫌いな上司]の殺し方]―
人格的に問題がある上司もいる一方、成果主義の影響、さらに長引く経済不況によりあらゆる業界において仕事で結果を出すことが困難になっていることも“モンスター上司”問題の一面にあるのではないだろうか。
中堅食品メーカーに勤務する高山博之さん(仮名・44歳)は、流通営業の地域リーダーを任されたが、部下から過剰な営業ノルマ、残業の強制を総務に密告され、結果部署異動を余儀なくされたという。
「僕は同業他社からの転職組で以前の会社での実績を買われてヘッドハンティングされました。テコ入れとして招かれたと自覚していたので、多少部下には厳しく当たったかもしれません。けれど、それは僕から見て以前いた職場より会社規模こそ大きかったのですが仕事の進め方が甘く、正直これでは成績を伸ばすことはできないと思ったからです」。
実際、高山さんが陣頭指揮を取った3年間の営業成績は好調。部下たちからの不満は感じていたが、会社からの評価は悪くなかったという。
「外に君の噂が流れて企業イメージに傷がつくのは避けたいので、評価はしているが我慢してくれ」と言われ、しぶしぶ異動を承諾したという。
また部下との行き違いから地方に左遷されたのは、中堅の自動車部品メーカーでやはり営業部門の部長だった倉内聡史さん(仮名・46歳)。
「僕がかつて仕えた上司はよくも悪くも放任主義。何か問題が起きたときだけ矢面に立って一緒に頭を下げてくれるような親分肌の人でした。そのお陰で僕は若いうちから大きな得意先を任されて、結果40歳で部長に抜擢されました。理想の上司だったので、自分もそうあるべきだと真似していたのですが……」
「○○社の××部長は仕事を部下に押しつけて自分は何もしないひどいヤツだ」。そんな身に覚えのない中傷がネット上に投稿されていると教えてくれたのは同期の友人だった。
「まさかと思ってネットをチェックしてみると、明らかに内部関係者しか知りえない詳細な内容についての書き込みがありました。ほどなく総務がこのことで僕を含めた複数の部員に事情聴取を開始。ネットの書き込み自体には嘘がなかったので、僕に非があるという結論になったようです」。
倉内さんは降格こそなかったものの本社から地方支社へ左遷された。
「仕事のかなりの領域を任せた分、負担が重くなったのは事実です。けれど、僕としてはそれをチャンスとして、意気に感じてほしかったです。仕事を任せるのは期待の裏返しであるともっと率直に部下に伝えるべきだったと今では後悔しています」
自分では会社の利益のために良かれと行動した結果、部下に“寝首をかかれる”とは何ともツラい話である。
― 嫌いな上司の殺し方 ―
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