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日本だけが厳しい!?「ドローン規制」海外はこうなっている

 ドローンが首相官邸に落下した事件からはや3カ月。話題の空飛ぶ無人飛行機を巡って、世論や政府の動きが活発化している。

今年5月に千葉県・幕張で開催された「国際ドローン展」での様子

今年5月に千葉県・幕張で開催された「国際ドローン展」での様子(筆者撮影)

 前回の記事では、日本におけるドローン規制について解説したが、ではドローン実用化に向けた環境やルール作りには、国によってどんな温度差があるのだろうか。そして、日本以外の国ではどのように法整備が進んでいるのだろうか。

 まず、ドローン先進国・カナダでは、一般人がドローンを飛ばす際、規制が非常に多い。カメラを搭載した普通のラジコンでさえ「無人飛行ビークル」という範疇に該当し、カナダ運輸省が発行する特殊航空業務証明書(SFOC)の取得が義務づけられている。しかし、このSFOCは商用利用のガイドラインという側面がある。ルールさえ守れば、ドローンを自由に利用することができる。カナダを代表するドローンメーカー・エリオン社の副社長・チャック・ロウニー氏は、カナダのドローン事情について次のように話す。

「ルールを守り、政府と企業およびプロフェッショナルが信頼関係を作ることで、ドローンの商用利用の幅がどんどん広くなっている。現在、エリオン社製のドローンはいつでもカナダの空を飛ぶことができます。他国のように夜間の飛行制限もありません」

 一方、米国では連邦航空局(FAA)が主導し、アラスカ大学など6機関で特定試験区域を設定。実用化に向けての動きを加速させている。ただ、米国では環境作りがすべて順調に進んでいる訳ではない。例えば、ホワイトハウス一帯を「飛行禁止空域」と定めている。これは、ホワイトハウス近郊で、ドローン墜落事件が度々起きているためだ。

 ホビー用ドローンの火付け役であるParrot社が本拠地を構えており、カナダ同様にドローン関連法の整備がいち早く進んだフランスでは、パリ上空に無許可でドローンを飛ばした場合、最高で懲役1年と約8万5000ドルの罰金刑が課されるなどの規制が設けられおり、一般使用と商用利用の境目がさらにはっきりと整備されていく見通しだ。

 また、フランスの隣国・ドイツでは13年9月当時、メルケル首相のわずか数メートルまでドローンが接近、墜落する事件が起こった。それまでドイツでは5㎏未満の機体を飛ばすのには特別な許可はいらなかったが、現在では首相府の半径5.5km内の飛行が法律で禁止されている。

 アジアの国の中では、タイがドローン利用の規制を強めている。タイ航空局は国内におけるドローン使用全般について免許取得を義務づけるとしており、これを破れば懲役1年および4万バーツの罰金など厳罰が科せられる可能性があるそうだ。また、空撮する場合には、免許とは別途にジャーナリストやプロ写真家、映画撮影などの資格で認可を受ける必要がある。バンコクに住むIT関連企業の事業家は次のように話す。

「理由は定かではないけれど、まず考えられるのはバンコクなどには王宮や王族の屋敷が散在している。タイでは王族の権威が強いから、盗撮などの事態が起きれば大問題になる。もちろん、他の国と同じく一般の人たちが盗撮の対象になってしまう可能性も懸念していると思います」

 ただタイ在住の韓国人事業家によれば「デパートに行けば、そこら中で売っている」そうで、「飛ばして捕まったという話は聞いたことがない」そうだ。タイの実情からは、法整備と同時に、その規制がしっかりと根付くように、国や政府、自治体および企業がアナウンスを続けることが重要だと考えさせてくれる。

 こうして各国の法整備の現状を見ると、その国ならではの固有の事情が透けて見えてくる。日本においても、日本の事情に則したドローン関連法の整備が必要となってきそうである。今回、緊急出版した『ドローンの衝撃』(扶桑社新書)では、ドローンの飛行のしくみから各産業における活用例、法整備について解説した。ドローンについて、より詳しく知りたい方は是非、手にとってほしい。

<取材・文・撮影/河 鐘基>

ドローンの衝撃

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