国産ドローンは災害大国ニッポンに絶対欠かせない。規制強化はナンセンス!
ドローンの衝撃』(扶桑社新書)では、ドローンの飛行のしくみから各産業における活用例、法整備について解説した。ドローンについて、より詳しく知りたい方は是非、手にとってほしい。
<取材・文・撮影/河 鐘基>
7月22日、またもやドローン関連で世界を震撼させるニュースが駆け巡った。アメリカで拳銃を搭載したドローンの射撃映像が投稿されたからだ。ニュースを受け、世界中でドローンはまた一歩、規制強化へと傾きつつある。
現在、世界各国で、規制と実用化のはざまに置かれているドローン。そんな、小型無人機を日本で積極的に開発、採用するメリットは何だろうか。また、国産ドローン開発の意義とは何か。
「まず、日本には自然災害が多い。地震災害や土石流、火山噴火の際、人が立ち入れない現場での作業に大きな効果を発揮するでしょう」(国産ドローンの開発関係者)
国産ドローン開発の先駆けである「自律制御システム研究所」(代表:千葉大・野波健蔵教授)が開発した原発調査用ドローンは、すでに福島第1原発5号機内での自律飛行を成功させており、実用化に向け開発が進められている。また国産ではないが、最近火山活動が活発化し、動静が懸念されている浅間山、箱根山の空撮にもドローンは大活躍しているという。撮影ヘリを飛ばすよりも格段にリーズナブルで、撮影精度も高いという。火山学者としてはじめてドローン撮影に成功した群馬大・早川由紀夫教授は、新聞の取材に答え次のように話す。
<風向きや天候も整い、全体像がわかりやすく撮れた。専門家自身が構図を決めてシャッターを切れるのは従来のヘリ空撮と大きく違う。住民や観光客にとっても自ら火山を観察するきっかけになる>(『毎日新聞』2015年07月19日付「火山撮影:浅間山・箱根山で「ドローン」活躍」)
ちなみに、カナダのAeryon(エリオン)社のドローンは、すでに国連やネパール軍に採用されており、2015年4月に起きたネパール大地震の際にその力を発揮した。エリオン社の副社長チャック・ロウニー氏は話す。
「地震などの災害が起こったとき、最初に行なうべきことは現地を視察して、マッピングをすること。ドローンを使って空から現状を把握した結果を持って、様々な救助活動を行なうことができます」
ネパール地震の場合、余震が長く続いたので、地形がどのように変ったかを継続的に調査し、日々新たなマッピングを行なっていく必要があったのだが、ドローンを使ったことで、地すべりが起きていないか、道路は使用可能か、インフラの損害状況はどの程度かということなどを、低コストで正確に把握することができたという。今後、日本の防災・救助活動を担当する警察や消防、自衛隊においても、ドローンは効果的でコスト負担の少ない選択肢になってくるだろう。
「もし日本の消防や警察でドローンを使うとなると、海外製とはいかないと思います。日本産ドローンの開発を進める作業が、一層必要になってくるのではないでしょうか」(前出、野波教授)
ドローンは、「人間ができないこと」や「人間がやりたくないこと」、また「人間のリスク軽減」などを担うことができる。住み分けさえはっきりさせれば、デメリットは少なく、むしろメリットの方が大きい。きっとそれは、災害現場という特定のカテゴリーにとどまらないだろう。
ドローンの実用化については、様々なリスクや、プライバシー問題が懸念されている。ドローンの実用化が一気に進むか否か。そこで最終的に重要になってくるのは日本社会のコンセンサスであり、それを客観的に判断するための情報となりそうだ。
今回、緊急出版した『
『ドローンの衝撃』 イノベーションか、それとも凶器か? |
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