オバマやデヴィッド・ボウイもお気に入りの天才黒人ラッパー、ケンドリック・ラマー。グラミー賞も有力!
オバマ大統領は昨年末、アメリカの雑誌『ピープル』のインタビューで、2015年のフェイヴァリット・ソングは「ハウ・マッチ・ア・ダラー・コスト」であると答えた。現在のヒップホップ・シーンにおいてカニエ・ウェストに次ぐ重要人物であるといっていい、黒人歌手ケンドリック・ラマー。彼の作品であり、各国主要音楽メディアの多くが2015年のベスト・アルバムとして挙げた『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』収録曲である。
・【アーティスト紹介】ヒップホップ界の新星ケンドリック・ラマー
http://www.wowow.co.jp/music/grammy/lamar.html
・【アルバム紹介】To Pimp a Butterfly/ケンドリック・ラマー
http://www.wowow.co.jp/music/grammy/nomination_02.html#list2
では、その「ハウ・マッチ・ア・ダラー・コスト」はどんな内容の曲なのか。内容的には、お金を恵んでほしいとホームレスにお願いされるも、きっとろくでもないことに使ってしまうだろうからと無視してしまうというもの。素通りするのはラマー自身。つまり、富と名声を手にした現在の彼が、貧困や偏見とどう向き合うべきなのかをあらためて自身に問いかけた作品なのだ。
ひょっとしたら、オバマ大統領はその冷静さを評価したのかもしれない。この曲は、黒人ゆえの怒りや嘆き、もしくは成功者としての喜びのどちらか一方を紡ぐ物語にはなっていない。そもそもラマーは、アフリカン・アメリカンの暗い歴史と現実から目を逸らすことなく、根深い差別問題をなんとか打破しようとしている。ただ感情的になっていたらできないことだ。
それからもうひとり、今年1月に亡くなったデヴィッド・ボウイ。遺作となってしまったアルバム『★ (ブラックスター)』制作時、ボウイはラマーの作品をよく聴いていたという。それはおそらく、つねに希望を見出そうとしているひとりの人間としての強さと、ジャズやファンクといった異なるジャンルを大胆に採り入れることでフレッシュなヒップホップを生み出したひとりのアーティストとしての柔軟性に刺激を受けていたからではないかと思われる。
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そう、今年の「グラミー賞」でもっとも注目されているのは、そのような人物なのだ。ラマーは『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』の年間最優秀アルバムなど、9部門で計11ノミネートされている。いうまでもなく今回の最多で、さらにいうと、1983年にマイケル・ジャクソンが12部門で計12ノミネートされて以来の数というのだから歴史的快挙である。
はたして、ラマーはいくつのグラモフォン(受賞者に与えられる蓄音機をかたどったトロフィー)を手にすることができるだろうか。ちなみに1983年のマイケルは8部門受賞で、この数は2000年のサンタナと並び、一度の授賞式における最多受賞記録となっている。
しかし、である。最大の関心事は受賞した際のラマーのスピーチだと思うのだ。年間最優秀楽曲や最優秀ラップ・パフォーマンスなどでノミネートされた「オールライト」で歌ったように、シリアスでハードな日常を強いられている黒人たちに向けて希望の提示をするかもしれない。
いや、黒人だけでなく、なんらかの問題を抱え、それと向き合っている人たちすべてに共通する激励の言葉を発するかもしれない。なんにせよ、お決まりの喜びと感謝の言葉だけを発してステージの袖に向かうとはとても思えないのだ。ラマーは闘うラッパーだからである。
●一夜限りの夢の共演 第58回グラミー賞授賞式パフォーマンスアーティスト一覧
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★第58回グラミー賞授賞式 HP
http://www.wowow.co.jp/music/grammy/
★「生中継!第58回グラミー賞授賞式」 ※生中継同時通訳
2015年2月16日(火)午前 9:00生中継![WOWOWプライム]
<文/ナノ・アソシーエション>
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