中国版ジャニーズにブサイクな地下アイドル…中国の「純国産アイドルブーム」の裏にある習政権の思惑
これまで、アイドル“不毛の地”だった中国で、国産男性グループ「TFBOYS」が爆発的な人気を博している。「00后(’00年以降生まれ)」の3人で結成された同グループは、3年足らずで「微博(中国版ツイッター)」で1000万人以上のフォロワーを獲得。今やコカ・コーラなど大手食品メーカーの多くのCMに出演しており、いわば“中国版ジャニーズ”のような存在になっている。
彼らの人気ぶりについて、北京市在住の主婦・大西靖子さん(仮名・38歳)はこう話す。
「ファンの年齢層が小学生から中年女性までと、とにかく幅広い。近所の広場には、彼らのヒット曲にのせて踊り狂うおばちゃんの集団もいます。彼らがきっかけで、純真無垢な若いイケメンを指す『小鮮肉』という新語も登場し、アラサー&アラフォー女性の間で年下男性ブームが起こっています」
彼らに続けとばかりに、2月だけでも「打倒TFBOYS」を宣言する「ナイス」や、似た名前の「SPTOYS」など3人組男性グループが結成されている。ところがネット上では、彼らのルックスに関する批判的なコメントが殺到。写真を見てみても、確かにアイドルとしてはどうみても難アリだ。
一方、中国では最近、地下アイドルグループも数多く誕生しているのが、こちらもルックスはかなり微妙だ。例えば安徽省で昨年末に結成された5人組の「サンシャイン」も「ブサイクすぎるアイドル」として話題になった。ところが彼女らは「私たちは自分たちが可愛くないことを知っている。でも絶対に整形はしません」と語り、ルックスのハンディを逆手に取った。これが功を奏し、SNS上で拡散してファンを多く獲得する結果となったのだ。こうした現象について、中国での活動歴もあるタレントの宮下匠規氏はこう話す。
「中国の美男美女はみんな我が強く、メンバー全員がセンターに立ちたがる。だからすぐ解散してしまい、グループが成り立たない。そのため、管理しやすい非・美男美女が必然的にメンバーとなり、ルックス的にイマイチなグループが誕生しているのではないか」
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1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
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