【就活の現実】中下位校で人気大手を狙うのは時間のムダ
「大手人気企業に就職できるのは上位校に通うごく一部の学生だけ」――と言われると、頭にくるだろうか? 12月1日、2013年春卒業予定の大学生の就職活動が解禁になった。例年より2か月遅れのスタートに早くも焦りを募らす就活生や、“今は”大手企業への就職に夢を膨らませる就活生が多くいることだろう。“今は”と付け加えたのは、大多数の就活生がこの先、現実に打ちのめされることになるからだ。ここで、長年、採用人事の現場を見てきたリクルートエージェントのフェロー・海老原嗣生氏が、著書『就職、絶望期「若者はかわいそう」論の失敗』のなかで記している就職市場の実態について紹介しよう。
◆人気大手に入れるのはわずか4%
毎年、大学新卒生のうち就職希望者は45万人程度で、そのうち就職できる学生は35万人(図表参照:https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=117016)。これに対して、人気企業ランキングの200位に入るような企業の平均的な採用総数は2万人程度。この枠に対し、東大・京大(0.6万人)、そのほかの旧帝大(1.5万人)、早慶(1.8万人)、一橋・東工大・東京外語(0.5万人)の学生が殺到する。要は、2万人の枠を目指して4.4万人が争うわけで、そこに中下位校の入り込む余地など残されていないのだ。「最近は出身大学を採用の評価対象にしてないのでは?」という声も出てきそうだが、実際に大手に内定した学生の出身大学を見れば、それもキレイごとにすぎない。
だが、ここで絶望してはいけない。超人気大手×有名校の組み合わせなど、就職市場において1割にも満たないシェア。ほとんどの人は中小企業におさまるのだ。
◆茫然自失期を経て現実を思い知る
ところが、初めから中小を受ける人は驚くほど少ない。3年生の終わりに「会社説明会の参加権がもらえない」「集団説明会のあと呼ばれなくなった」などで、薄々気づきつつも、4年生になって4月1日に企業の採用試験がスタートすると、ほとんどの学生が名だたる人気企業に応募をする。しかし、4月から5月にかけて人気企業が内々定(正式な内定は10月から)を出し始め、ここでまず第一の茫然自失期がやってくる。
すると学生は、今度は大手のグループ企業や冠系企業(キヤノン●●、トヨタ●●など)を狙い始める。5月の終わり頃にはそういった会社も内々定を出し、採用広告を出す企業が減ってくる。そこで第2の茫然自失を経験し、ようやく現実を知ることとなるのだ。やがて「大手はムリ」と気づき、就職についての相場観ができ、中小企業に目が向くのは夏休み直前となる。
人気大手以外の中小にシフトチェンジするまでに、半年以上も時間をムダにするわけだ。このムダなリードタイムをなるべく短くし、より良い中小企業を受けるのが、内定を勝ち取るための第一歩である。そのためには、中小企業への偏見を捨てることからはじめよう。
文/日刊SPA!編集部
【参考書籍】
『就職、絶望期 ~「若者はかわいそう」論の失敗』
海老原 嗣生 著
扶桑社新書 798円(税込)
人事のエキスパートが、警告と同時に「本当の解決策」を提示
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