サッカー日本代表の初勝利に大喜びのブラジル人たち…日本戦&ブラジル戦を観てきた
―[リオ五輪]―
現地時間10日、1次リーグ最終戦ととなる日本×スウェーデン、ブラジル×デンマーク戦を観るためにリオから1400km北東の都市、サルバドールを訪れた。
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このサルバドールという都市は、ブラジル最初の首都で、教会など歴史的建造物が世界遺産に指定され、サンバやカポエイラが生まれた、ブラジルの精神や文化が生まれた街といっていい。
この日の試合はダブルヘッダー。最初に日本戦があり、そのあとブラジル戦があるという記者にとっては願ってもないカードだ。日本の戦いぶりはご存知の通りだが、ブラジルも大苦戦、初戦の南アフリカ、2戦目のイランとも0−0のスコアレスドローに終わっており、予選敗退の危機が叫ばれていた。
連日テレビや新聞は男子サッカー代表の話題でもちきり。あっさりと予選通過を決めた女子代表を引き合いに出し、「男らしくない、弱気なサッカー」とこき下ろしていた。とくに不調のエース・ネイマールに対するバッシングはひどく、「オカマ野郎」と揶揄するメディアまで現れたほどだ。
街に出て現地の人とサッカーの話をすると、無得点のチームを嘆いていた。記者が「日本は4点とったのに5点取られて負けたよ」と嘆くと、「それでも4点取っただけいいじゃないか。ゴールのないジョゴ(=サッカーの意味)はジョゴじゃないよ」と自嘲する者や、「もう予選敗退してしまったほうがいい」と言う人まで……陽気なブラジル人を悲観的にするサッカーの魔力たるや、日本人の記者には想像が及ばない。
当日、19時からの日本戦に備えて宿を1時間前に出た。記者が宿泊するペロウリーニョ地区から会場のアレーナ・フォンチノヴァまでは徒歩15分ほど。夕暮れ時にちょっと危ない地域を通るため早足になったが、無事スタジアムに続く通りに到着。大通りは警察、軍隊、警備員がびっしりとおり「安全」をアピールしているかのようだ。
軍隊によるボディチェックと荷物チェックを受ける。ブラジルではサッカーを見に行く際は「手ぶら」で行くのが常識なので、カメラの入ったバッグを持っていた記者は入念なチェックを受けるはめに。それでも最後に「ボン・ジョゴ!」(よい試合を)と言ってくれるのが気持ちがいい。その後幾度とチェックポイントがあったが、皆が「ボン・ジョゴ!」と言って送ってくれる。
18時すぎに競技場に到着するが、7万人入るスタンドはガラガラ。日本人サポーターが目立つ程度で本当に人がいない。いつも混み合ってイライラする、飲食ブースのお姉さん方も頬杖をついている。大音量で流されている音楽が反響し、けっこう耳にくる。ブラジルやアメリカ系の音楽が流される中、突然日本語が……ピチカート・ファイヴの「トゥイギー・トゥイギー」が流された。専属DJが音楽をかけていると言っていたが、粋なはからいだ。
1割に満たない客入りのまま日本戦は始まった。およそ100人弱の日本サポーターの歌うコールが客のいないスタジアムに響く。ブラジル人を味方につけようと、ブラジルではお馴染みのコールをアレンジしてみたりと、日本サポーターは奮闘している。
後半に突入すると、急に観客が増えてきて4割ほどの入りに。ブラジル戦まで2時間あまり。老若男女、ほぼ全員が黄色いユニフォームを身に着けているのがすごい。
怒濤の日本の攻め。しかしなかなかゴールを割れない。記者の後ろに陣取った単独中年男性が「(シュート)打っても打っても入らないな。何やってるんだ!」と手厳しい。その後も「あ〜!」「あぁぁ〜!」とため息をつきまくり。終いには放送禁止用語を叫びだして苛立ちを露わにするほど。
しかし日本が得点すると「やったぜ!この野郎!」と大喜び。まわりのブラジル人も大喜びしている。スウェーデンがパスを回すと会場はブーイング。このゴールで日本は地元民を味方につけたようだ。「あと5点は取れるぞ、この野郎!」と記者を鼓舞する中年男性。なかなかにうるさいので「ブラジルも5点取れ!」と笑顔で返しておいた。
試合終了。結果はご存知のとおりだが、まわりの人は「日本勝った!勝った!」と喜んでいる。おめでとう!と言ってくる人にはお礼をいいつつ「でも、予選敗退なんだよ」と言うと「ここで勝ったんだからいいじゃないか」と妙にポジティブな人も。
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