マグロの乱獲規制を訴え続けていた松方弘樹「政治的関係で巻き網漁が放置されているのはおかしい」
これまで産卵マグロ群を一網打尽にする巻き網漁の「乱獲規制」を訴えてきた俳優の松方弘樹氏。だが、今夏も鳥取県境港を拠点とする巻き網漁は繰り返された。氏にインタビューを申し込んだものの、ガンで闘病中のため面会謝絶とのことで、直接話を聞くことはかなわなかった。しかし、松方氏の「マグロを守ってくれ」という思いは並々ならぬものがあったのだ。
産卵期のマグロは市場価値が低く、巻き網船にとっては「夏場の小遣い稼ぎ」にすぎない。「それなのに、将来のマグロ資源を食いつぶす『巻き網漁』に厳しい規制はかからなかったのです」(水産資源問題に詳しい勝川俊雄・東京海洋大学教授)。
産卵期のマグロ漁獲開始は境港の水揚量増加をもたらした。それまで年間500t程度であったが、’04年に1700tに急増、その後は2000t前後で推移した。
巻き網漁の影響は周辺海域にはっきりと表れたようだ。
「見島周辺で漁をしてきましたが、以前は巨大マグロだけでなく、20~100kgのマグロも獲れていました。しかしソナーなど最新設備を搭載した巻き網船が産卵中の魚まで根こそぎ獲るようになり、’01年には小型魚が激減し、大型魚も年々減っていきました。あと2年もすれば、完全に獲れなくなってしまうでしょう」(松方氏の一本釣りの師匠だった佐々木敦司氏)
「境港を拠点とする巻き網漁への規制は自主規制のままで、いまだに甘い状態が続いています。クロマグロの危機的状況や規制強化の必要性をずっと訴えてきましたが、状況は今も変わっていない。国際的には常識の『予防原則』に立って規制強化をするべきだが、日本はそうなっていないのです」(勝川氏)
政治的関係で巻き網が放置されるのはフェアではない
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