【植草一秀氏】「廃県置反藩」を断行して地方分権を実現せよ!
―[消費税大増税を強硬に推進]―
◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏
12.1兆円の第4次補正予算が成立し、震災復興対策がようやく動き始めた。GDP比4%の大型景気対策で日本経済浮上が期待されるが、直後の超巨大増税の影がちらつく。増税前提の政府支出の無駄排除は雲散霧消なのか。
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しかしながら、日本の国会議員数は人口比で見て必ずしも多くはない。比例区の議員定数を削減すると、少数政党は消滅する恐れが強まる。政党の利害得失の思惑から定数削減問題が論じられている可能性が高いことに注意が必要だ。
政府支出削減の効果を考えれば、重要なのは地方議員の削減だ。日本の地方公共団体数は99年段階では約3500団体あり、地方議会議員と首長は合計で6万8000人も存在した。その後、平成の大合併により、地方公共団体数は約1700にまで減少し、議員と首長の定数合計は3万9000人に減少した。
一定の効果が生まれたことは事実だが、地方公共団体の統合は利害と打算によるもので、全体としての整合性が取れていない。
私は、日本の地方自治体を人口約40万人の300団体に整理再編すべきだと考える。この基礎自治体に強い行政権限を付与する「廃県置藩」を断行して中央集権から地方分権に大きく舵を切ることが重要だ。300団体に20人定員の議会を設置するなら、首長と議員定数の合計は6300人にまで削減できる。
消費税論議を契機に日本の行政改革を全面的に実行するべきだ。天下り根絶も議員定数削減もなく、消費税大増税だけが実行されるのが最悪だ。行政改革なき消費税増税を阻止し、日本経済回復実現を優先しなければならない。
【今週の数字】
地方公共団体数
1719団体 (11年11月時点)
消費税増税の前提条件として掲げられた政府支出の無駄排除の公約。その内容は天下りの根絶、議員定数削減、公務員給与の引き下げである。議員定数削減を唱えるならば、地方議会の定数削減を優先するべきだ
【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ㈱代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」(http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/)も人気。近著に『日本の再生』(青志社刊)
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