フーゾク界の栄枯盛衰を知る男・山本晋也監督「石原慎太郎がカーテンの陰に僕を呼んで風俗店の話を…」
『未亡人下宿』シリーズをはじめ250本以上の映画作品を手がけ、また、’80~‘00年初頭にかけては一世を風靡した深夜番組『トゥナイト』『トゥナイト2』(テレビ朝日系)への出演でも、おなじみの山本晋也監督。番組が終了し、御年77歳を迎えた今でも風俗リポートを続け、10月には著書『風俗という病い』(幻冬舎)を出版するなど精力的だ。
今月25日には『トゥナイト2』を14年ぶりに復活させた『甦るトゥナイト2』(テレ朝チャンネル2)が放送される。今回、番組の顔とも言える山本晋也監督に当時のエピソードや現代の性風俗業界について伺った。
――『未亡人下宿』シリーズなど数多くのピンク映画を監督し、『トゥナイト』では風俗リポーターとして活躍されていた山本監督が、”エロ”に目覚めたきっかけは?
山本:日芸(日本大学芸術学部)の学生だった頃、夏休みになるとみんな、カメラマンのアシスタントや映画の助監督をやりに行くんですね。僕は知り合いの紹介で、思いがけずピンク映画の手伝いをすることになったんですが、行ってみると、女優さんがお風呂に入るシーンだった!
――いきなり衝撃的な体験ですね……。
山本:そう。しかも通常の撮影では、女優さんは肌色の肉襦袢を着て、お湯は牛乳か「六一〇ハップ」(ムトウハップ)っていう入浴剤で乳白色に濁らせるんですよ。あたかも裸に見えるように。だから、僕は気を利かせて、濁らせたお湯を張って待っていたんですが、そしたらそれを見た監督が「誰だ、こんなことした奴は!」って怒るんですよ。わけも分からず急いでお湯を入れ替えると、女優さんが浴衣かバスローブを着て入ってきて、ためらいもなく全裸になったんです。
――え! それまで監督が女性の裸を見たことは……?
山本:僕にとってはそれが初めての女性の裸だったんです。だから、衝撃的でした。当時はモノクロだったので肌の白を引き立たせるために全身に水おしろいを塗っていて、そりゃあ、美しかった。僕は壁にはりつきながら、それを見て、心に決めたんです。「この世界、絶対に残ろう」って。
――それでピンク映画の道へ。山本監督が映画を撮り始めた60年代頃は世間のピンク映画に対する反応はどうでしたか?
山本:男たちはみな、感動してましたね。それまで映画館で喘ぎ声なんか聞けなかったんだから。ただ、世間一般の反応は賛否両論。歌舞伎町で撮影していたときなんかは、チンピラに「お前ら、エロ映画だろ」って絡まれて、よく喧嘩してました。
ほかにも撮影を始めようにも、絡んできたヤツと俳優が喧嘩始めちゃったことも。あと警察ともよく喧嘩しましたよ。今でもそのときの彼らのセリフをよく覚えてるけど、「お前らは世を汚すウジ虫だ。いつか退治してやる!」なんて言うんですよ。だからこっちも「上等だ馬鹿野郎!」ってなっちゃう(笑)。だけど、味方してくれる白バイの兄ちゃんなんかもいてね。こっそり「ここ張っとくから、早く撮れ!」って言ってくれて嬉しかったねぇ。
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【甦るトゥナイト2】
日時◆初回は12月25日(日)23~25時放映。全3回を予定
出演◆山本晋也、石川次郎、乱一世、高尾晶子
内容◆初回は当時の出演者たちをスタジオに迎え、当時大人気だったラブホテル企画「ある愛のかたち」シリーズの秘蔵映像を放映
テレ朝チャンネル2http://www.tv-asahi.co.jp/ch/contents/variety/0134/
『風俗という病い』 半世紀、夜の街を歩き続けた著者が「風俗大国」ニッポンのエロを丹念にリポート |
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