年収100万円に転落した人たちの共通点
5年連続で上昇している日本人の平均年収は420万円(’16年国税庁統計)だが、非正規雇用に限れば170万円まで落ち込む。もはや珍しくない年収100万円生活者。限界の生活を余儀なくされる人々とは――
年収100万円と聞くと、家庭環境に問題があったり、低学歴ゆえとのイメージもあるが、長年ワーキングプアの取材を続けるルポライターの増田明利氏によれば、それは偏った先入観だという。
「もちろんそうした要因から貧困に陥るケースは珍しくありませんが、実際に取材した人には、大手百貨店や都銀に就職したものの、リストラや早期退職から再就職に失敗し、時給1000円のアルバイト暮らしに転落した人もいました。会社を辞めたときは、『自分はプロフェッショナル』だという自負があり、意気揚々としていたものの、不況で同業他社はベテランの中途採用には消極的。ハローワークに募集を出すような中小企業からは『あなたの専門性と人脈は、ウチの会社では何の役にも立たない』と一刀両断され、結局はそれまでのキャリアとは無縁の仕事を選択せざるを得ないのです」
また、これらの人々には性格面でも共通点があるという。
「見えっ張りで、他人に高圧的な態度に出る。しかしキャリアを見れば2番手で、超一流に対してコンプレックスがあり、そのくせ会社に依存して威張り散らすタイプ。そこまで極端でないにしても、人望のない人はリストラや早期退職で標的にされやすいです」
さらにこうしたタイプに加えて、近年は会社に従順な“社畜系”も転落予備軍だと増田氏は言う。
「ブラックな職場でも『仕事があるだけまし』と満足している人は言うに及ばず、義務感や責任感が強く、『自分がいないと会社が回らない』と思っている人も危ない。会社への忠誠心が高い人は、経営者からすれば搾取しやすい存在。会社のために無理を続けて体を壊しても、それを考慮して働けない人間を雇い続けてくれるほど、経営者は甘くありません」
もはや他人事では済まされない年収100万円時代の生き方
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『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』 この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!? |
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